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今日の新幹線の、隣の席は誰か

急に名古屋に日帰り出張することになった。あまりに急なので車中をどう過ごそうかを考える間もなく、飛び乗った。今年、何回目の出張だろうか。考えると、年間だいたい往復で60回くらい、新幹線に乗っている。いまの仕事になってから6年を過ぎたので、少なくとも360回くらいは新幹線に乗ったことになる。そのほとんどは一人での出張だ。行き先は、名古屋のほか仙台、京都、大阪など。そのたび感じるのだが、新幹線の旅を快適にしてくれる結構大きな要素として「となりの席の乗客」がどんな人か、というのがある。
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とても美しい女性がとなりの席になり会話が弾んだ、という経験は一度も無いが、出張サラリーマンの隣はよくあるし、旅行客ということもままある。隣の席の乗客が楽しそうであればその空気が伝わり、またその逆も同じ。それによってこちらの気分も影響を受けるものだ。これまでに印象的だった隣の席の乗客を、すこし思い出してみた。

1人目は、3年ほど前に仙台からの帰りに隣になった、インド人の夫婦。私が発売間もないiPadで移動時間の暇つぶしをしようと取り出すと、隣の席に座った奥さんの方が、早速声をかけてきた。これは一体何?どんなことができるの?キーボードは?触らせて!とても積極的にコミュニケーションをとってきて、お互いつたない英語で盛り上がる。東京まで90分の楽しい時間は、あっという間に過ぎた。

2人目、こちらは1年ほど前のこと、台湾からの旅行で日本を訪れた夫婦。東京から青森に向かう新幹線で、旦那さんと隣に乗り合わせた。発車してしばらくすると、他の日本人の乗客とその旦那さんが何やら立ち話で揉めている。どうやら、指定席がダブルブッキングしているようだ。そのうち車掌も含めて話すのだが、英語での会話がなかなか進まない。見兼ねて隣から私が声をかけ、これまた頼りない英語ながらなんとか仲裁することができ、結局旦那さんが私の隣に座ることになった。60歳を過ぎたかどうか、落ち着いて優しそうな表情。一連のお礼を丁重に述べた後、聞けば前日は鹿児島に居たのだそう。その翌日に青森観光とは、私たちには思いつかない旅程だ。青森の観光名所はどこだろうとか、美味しい食べ物は何だろうとか、下調べもなく目的地に向かうようで、あれこれ質問攻めに。私が先に仙台で降りたのだが、別れ際には固い握手でお互いの幸運を祈った。それはとても温かい90分だった。

こうしてみると、記憶に残る隣の席の乗客はいずれも外国人だった。なぜか日本人同士で、会話が盛り上がったことは無い。というかそもそも、会話自体がほぼ無い。私が話しかければ良いのかもしれないが、そういうものではない、という暗黙のルールみたいなものがあって、実際はやりづらい。話は変わるが最近では見知らぬ同士でランチを楽しむ「ソーシャルランチ」というFacebookを使った仕組みがあり、それはいわば軽い異業種交流会に近い。それをヒントに新幹線の座席予約情報にも本人が望む範囲の情報、Facebookのプロフィールなどを隣の席の乗客との会話を望む人が公開できるようにすれば、偶然に少し意図を重ねた、有意義な出会いが生まれるかもしれない。

新幹線の、隣の席は誰か。今日はヒップホップ風の若者だった。そして新幹線は今日も時刻どおり、目的地に向かう。