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"各駅停車"の生き方

仙台への出張。予定より早く東京駅に着いたので、ふと思い立っていつもの"はやぶさ"ではなく、"やまびこ"に乗ってみた。新幹線の各駅停車だ。

いつもなら東京・上野を出ると次は大宮、そこから1時間も乗ると次の駅、目的地の仙台にあっという間に着いてしまう。でも今日は少し違う。大宮の次は宇都宮、郡山、そして福島と小刻みに停車していく。

乗客は宇都宮でどっと降りた。郡山を過ぎる頃にはもうガラガラ。3人掛けの座席に1人いるかどうかだ。ふと窓に目をやると、田植えの終わったのどかな風景が飛び込んでくる。そこには、ゆっくりとした時間が流れている。

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私たちの日々は、本当に忙しい。余裕を持って行動しているつもりでも、すぐに「時間泥棒」に目をつけられ、キリキリと振り回されてしまう。

だから少しでも早く片付けよう、少しでも早く終わらせようと「急ぐ」ことが当たり前の生き方になっている。

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朝起きると、朝食を詰め込むようにしてお腹に入れ、

通勤電車は快速に乗り換えギュウギュウ詰めで先を急ぎ、

駅から会社までの道のり、横断歩道は素早く走り抜け、

メールチェックを片っ端から終わらせ、数多くのアポイントをこなし、

そうして一日の仕事でクタクタになり、帰りの電車では目に入ってくるままにスマホのアプリを眺め、

家に着いたらダラっとして、風呂に入って寝るだけ。
(昔、そんな曲がありましたね)

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その頃にはもう、一日に使えるエネルギーはほとんど使い果たしてしまっている。何かクリエイティブな発想をしたり、スキルを身につける自己研鑽をしたり、社会の課題を仲間と議論し深める余力は、残されてはいない。 

まあ、それはある程度は仕方のないことだろう。理想ばかりでは日々を暮らしてはいけない。生きていくいうことはリアルで、食べ暮らしていくにはそれなりの苦労を伴う。誰も好きで特急電車の毎日を選んでいるわけではない。

ただそれでも「それではいけない」と心の底から強く思い続けているかどうかが、変化していける可能性の始まりなのだ。

各駅停車の生き方、それは決して楽をする、ということとは異なる。一つ一つの場面をしっかり受け止めることは、案外負荷のかかることでもある。自分の価値観を大切にして、それに従った行動を日々、重ねていくという生き方。

スケジュールを仕事優先でなく、家族や地域の行事とのバランスを取ること。子どもの学校周りのイベントを配偶者に任せきりにしないこと。休日に消費することだけを楽しむのではなく、何かを生み出したり人とつながったりすることに時間と手間をかけること。

何かを、捨てなければそれはできない。何かを、諦めなければそれは得られない。それは人により収入の多寡だったり、出世だったり、世間体だったりする。しかし、ただ流されるままに日々を過ごすことは、より大切な何かを失うことになる。

人と異なる選択をするということは、それだけでストレスフルでもある。周りに流されずにマイペースを貫く辛さと、自分の価値観に正直であることの満足感とは表裏一体なのかもしれない。

そんなことを考えながら、いつもより少し長めの旅は終わりに近づいた。やっぱり僕はこれからも、各駅停車の生き方を目指して行こうと思う。横断歩道は決して走らないようにしながら。




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