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「みずほFG 週休3~4日制導入」を正しく理解するための解説

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スキルノートの芦沢です。今朝、YahooニュースやTV報道から多くの方が目にした記事かと思います。この話題は一面的な理解だとわかりづらいので、背景も含めて解説します。

 

みずほFG 週休3~4日制導入へ 新型コロナで働き方見直し | 働き方改革 | NHKニュース

 

1.なぜ週休2日から休みを増やすのか

・国内市場はもう拡大しないから

はい、人口減少により日本経済は縮小していくので、そもそもビジネス全体としては供給過多になります。実際には伸ばす業種と消える業種など偏りは出るでしょうが、GDP自体は下降線をたどる局面へと遠からず移行していきます。

銀行というのは融資をもとに企業がレバレッジを聞かせて効率的にビジネスを展開することを支援するのが生業なので(半沢直樹の世界)、業種合計で規模が縮小すれば、銀行の仕事は減ります。仕事が減ると、今と同じ労働力は不要になるため、もっと休日を増やしても事業は維持できます(海外事業云々は全体からするとこれらを全て補うほどの規模ではない)。銀行に限らず、どの業界も似たような状況が幾つもあります。

・AI、IoTあるいはDXの進展

それらの活用によりビジネスモデルが効率化したり、中間の調整業務が減ります。無駄な仕事が排除され、効率が高まります。政府の行政改革による印鑑廃止などもいずれ効いてくるかもしれません。いずれにせよ、今まで必要とされていた仕事や役割自体が不要になるためビジネスの総量が減ることも、労働力を減らすことができる要因になります。

 

2.なぜ給与は削減されるのか

・基本的には労働時間を換算している仕組み

これは良い問題でSNSでも多くの方が指摘または落胆していますが、先行して選択的週休3日制を導入しているYahoo!JAPAN社ですら同じです。平日5日勤務が4日になれば給与は8割、3日なら6割、労働日数に比例した制度設計です。

奇しくも現在はリモートワークの普及により、労働時間でなくアウトプットの質と量で評価しようという風潮が生まれている矢先なので、それとは相反する考え方です。キーワードは社員間の公平性への配慮なのだろうと推測されます。週当たりの休みの数が違う社員が成果さえ出ていれば同じ給与となることを「不公平だ」と感じる、働く私たち自身の価値観や日本社会全体の風土がまだまだ変化に追いついていないように見えます。

 

3.増やした休みは何に使うのか

・価値の再生産のための投資時間に

ここが大切なポイントです。記事のヘッダー写真にある「超訳LIFE SHIFT」にも詳しく書かれていますが、長寿化による人生100年時代が現実となった今、休暇の使い方をこれまでとは大きく変える必要がそもそもあります。

どういうことかというと、60歳あるいは65歳の定年まで勤めて得られた貯蓄や年金支給だけでは、平均寿命が100歳を確実に超えていくこれからの世代は、生活費を賄えないのです。そこで、ただ単に好きでもない仕事を長く続けるのではなく、自分が好きで得意な分野から付加価値を生み出すことで対価を得、地域社会に感謝されながら期待役割を形作り、それを生涯の生業として有意義に生きることが理想的ですよ、という提案がLIFE SHIFTには描かれています。

そんなこと可能なの?と思いがちですが、休暇の過ごし方で可能になります。「レクレーションから、リ・クリエーションへ」。余暇を消費活動ではなく、価値の生産活動のために休日を投資するのです。自分のスキルを磨いたり、会社外でのコミュニティを広げることに最も多くの時間を使うのです。それはある意味、勤務よりも難易度の高いことへの挑戦でもあります。

 

4.減少した収入をどのように補うのか、または補わないのか

・副業、もしくは複業の意味

週休3日制の元記事にもあるように、増えた休日を副業に活用して収入を補う考え方はあります。間違っても選択してはならないのは他の組織に勤務することです。副業解禁を先行しているソフトバンク新生銀行などの企業も「副業は、個人としての創業か、社会課題に向き合うソーシャルビジネス」を推奨しており、他の民間企業への勤務による副業は禁じています。

その理由は、個人の立場からすると「生涯の期待役割を生み出すことにつながらない」からです。企業名や組織の肩書きに頼る経験は一社に留め、肩書のない一個人としての実力を身に付け試す機会としての副業である必要があります。それにより定年に左右されない生涯の期待役割を得ることにつながります。

個人事業も単に中古品の仕入れと転売、あるいはアフリエイトのような「他人が作った仕組み」の上で小遣いを稼ぐようなやり方は続きませんし、他人や社会は喜びません。世の中の誰かが喜んだり、救われたりするような商品・サービスを自ら生み出す専門性の高い仕事を行い、それを市場に「売上」という目に見える結果で評価されることで、自身のビジネス経験は大きく磨かれます。

その意味で、雇用とは別に複数の本業を持つことを「複業」と呼び、望ましいはたらき方の選択肢に今後なっていくと思われます。

・減った給与収入を全て補う必要は無い

給与の金額というのは生活に充てられる費用の総額という意味だけでなく、働きを評価するメモリとしても私たちは認識しています。これからは、例えば「年収1,000万」といった響きをステイタスと感じること自体から、自由になる必要があります。

つまり、給与の年収は単に組織が与えたラベルでしかなく、その人の正確な提供価値や社会の期待役割の高さを表してはいません。本来、生きていくのに必要なだけ得られれば、それで良いのだという、生きることの原点に立つことも大切です。週休3日制を選ぶことで給与収入が減ると、私たちが長い間この見えない既成概念に縛られてきたことに気づくはずです。

 

5.私たちが考えるべきこと

・他人と比べない風土へ

週休3〜4日制を導入して気付かされる最大の効果は、働き方のダイバーシティを受け入れることでないかと考えます。つまり、男女の性差やLGBT、育児や介護との両立、本人や家族の病気といった、これまではマイノリティを見捨てないためのダイバーシティが主流でした。

そうではなく、誰もがそれぞれに合った理想の働き方を目指すことができる「働き方のダイバーシティ」こそが、組織を強くする多様でしなやかな人材活用となります。

例えば企業の中でも、組織内での評価を高めてマネジメントを極めたい人だけでなく、ある特定の分野で研究者としての専門性を高めたい人、地域活動やコミュニティを軸とした生き方の一部に勤務を無理なく組み入れたい人、勤めながら異分野での創業を目指しいずれ独立したい人、家庭と趣味と健康のバランスを何より大切にしたい人、業務委託を複数組み合わせて収入のポートフォリオを自分で作りたい人、など様々な志向が働く私たちそれぞれに違って良いのです。

ですから、週休3〜4日制の導入はそのすぐ先に、同じ島の隣の席に座っている人、向かいの人、誰もが勤務時間や休日の数や、テレワークの頻度や年収やポストなどがそれぞれに異なることを、それぞれが尊重し受け入れる風土になっていくことが予想されます。その自由を得た従業員の働くモチベーションや組織への貢献意識は、業績において計り知れないプラスの効果を与えるものと思われます。

・主語は「私」

週休3〜4日制のニュースに対し「皆んながそうなったら困る」「これはリストラと変わらない人件費削減策だ」といった、自分自身ではなく他人や組織を捉えた意見も見られます。気持ちはわかりますが、大切なのは自分の生き方、はたらき方をどう創るのかということです。誰も、週休3日を強制はしません。それを選択する人を認めるだけで良いのです。自分がそれに該当したいのか、そうでないのか、それを自分で選ぶだけです。主語は常に「私」であることを、このニュースから感じることで、たとえ自分の勤め先が週休3日制を導入しなくとも、今後の生き方はたらき方を主体的に描き、実現することが可能なのです。

 

 

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*こちらの過去記事も参考にどうぞ。

終身雇用の終わり、に私たちが考えるべきこと - skillnoteのブログ