skillnoteのブログ

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【3/12土】起業女子のための「プロブロガーのweb戦略」&「開業のコツ」セミナー

このたび、起業間もない方やこれからの方、パラレルキャリアでの活躍を目指す女性の支援を目的としたセミナーを女性起業家さんとのコラボで開催します。それぞれのスキルアップと共にこの機会が関心のある皆さん同士の交流のきっかけとなることを目指しています。

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当日はプロブロガーのオカベテルマサさんによる「ブログと SNS で差をつける!実践型 web 活用セミナー」や行政書士で労務コンサルタントの本多夏帆さんによる 「行政書士が語る、女性起業家開業のコツ」 という2本のミニセミナーの他、フリーランスやパラレルキャリアで取組む皆さんやこれからの目指す方の悩みや喜びについて、気さくに「ワールドカフェ」形式で語り合う時間をご用意しております。またこれから起業する方の具体的な支援サービスとして「バーチャルオフィス・Liberty」の仕組みをご紹介します。

先着15名限定での開催としています。こちらのURLより詳細をご覧いただき、ぜひお越しください。皆様とお会いできることを楽しみにしています。

【3/12土】起業女子のための「プロブロガーのweb戦略」&「開業のコツ」セミナー http://www.kokuchpro.com/event/b9233b9106156136660d618e7b468a48/

♦︎プログラム♦︎

 1.オープニング
バーチャルオフィス”LIBERTY”と起業家ネットワークのご案内 STREAMS 代表 青山加奈

2.ミニセミナー① 
「ブログと SNS で差をつける!実践型 web 活用セミナー」 プロブロガー・OREGADGET編集長 オカベテルマサさん

3.ワールドカフェ形式で楽しむトークの時間フリーランスの楽しみ・悩み」 PR プランナー大山夏希、プレゼン技術コーチ・スキルノート代表 芦沢壮一

4.ミニセミナー②
行政書士が語る、女性起業家開業のコツ」行政書士・Office Breath代表 本多夏帆さん 

5.シェアタイム -振り返り・今後に向けて

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死んだ魚の目をしているのは満員電車だからでも、サラリーマンだからでもない、という話

最近、朝の通勤電車に乗っているサラリーマンはどうやら「死んだ魚の目をしている」ということになってるらしい。

これは就職前の大学生からの、素直な意見。そういう人たちになりたくないと否定しながらも、近い将来の自分を見るようで不安なのだろう。

社会人諸先輩からの反論も多数あるようだが「死んだ魚の目」であることは認めている感じ。こちらは仕事スイッチオンする前だから電車内はオフモードなんだよ、という説明。なんとなくわかる気もする。

さて、僕はあえて異なる視点を提示したい。結論から言うと「死んだ魚の目」をしているサラリーマン本人も、それを嫌だという大学生も、それに反論する大人も、その多くは「キャリア形成と職業との関係」を大きく誤解しているということだ。

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わかりやすく言うと、自分がどんな職業に就くか、あるいはどの企業や組織に属するかどうかは自分自身の本質的なキャリアの中心ではなく、単なる「居場所や役割のひとつ」に過ぎない。

キャリアの軸を作る順序というのは、まず自分がどうありたいかというビジョンを持ち、それを実現するための知識・スキルを整理し自己の努力で習得し、それを発揮しながら伸ばすために適した場を見つける、という流れが本来あるべき姿。

職業や役割が自分を成長させてくれる、というのはある面では甘えであり、誤解。効果の一部ではあるが、それが全部じゃない。まずは個として揺らぐことのない自分の価値を、自分自身で磨くプロセスが大切だ。

さらに加えて言うならば、仕事に過度の「やりがい」を求めるのも必然ではない。基本的には食べていけるだけのものを稼げれば、それで十分だ。"ライスワーク"に"ライフワーク"を重ねるかどうかは本人の自由であって、皆がそうしなきゃいけないわけではない。

「たった一つの役割」に自分の全てを背負い込んでそれが自分のアイデンティティとなったら、そりゃ死んだ魚の目にもなりますよ。自己実現のため、会社のため、家族の生活のために毎日毎日電車に乗り、体調が悪かろうが上司が嫌な奴だろうが、後輩に出世を先んじられようが、慣れない積雪で電車が2時間遅れようが職場に向かう、それが自分のやるべきことだ、と催眠術にかかったように日々を過ごしている人々のなんと多いことか。

ちょっと一回立ち止まって、ゆっくりお茶でも飲んで、落ち着こう。僕たちの役割は何なのか。社会規範や学校教育や親の視線や、それらを通じて幼い頃から刷り込まれ、思い込まされている「幻の大人像」の存在に気づくことができたとき、縛られることの無い本当の自分の生き方を見つけられるだろう。

僕は「死んだ魚の目」というとても語感の悪いコトバを世の中から消し去りたいと考えている。それにはただ一つ、主体性を磨くことだ。とてもシンプルなことだけど、難しい。目先の損得や他人との比較、形だけの満足感、"普通"であることへの固執、周囲からの評価、そういう意味のないことを「意味がない」と切り離し実際に行動すること、それが主体性。

それができたら、もうその目は進むべき道を見定めた、活きた目になっているだろう。それがたとえ職場に向かう満員電車の中にいるサラリーマンであったとしても。いつも、日々を変えることができるのはただ一人、僕たち自身だ。



サラリーマンの出世レースから降りて良かった5つのこと

私は現在サラリーマンの仕事と別に、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーの講師をしています。最近少しずつ聞かれるようになった“パラレルキャリア・パラレルワーク”という働き方、生き方です。そんな形に切り替えて3年ほどが経ちましたが、続けてみてとても良いなあと感じていることを今日はご紹介します。

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1. 健康になった

そもそも、このような働き方に変えたきっかけは健康問題でした。10年ほど前に人事異動を機にメンタルヘルスを崩し、休職とリハビリ勤務を経験しました。当時の詳しい経緯は過去記事に記載していますが、ともかく職場に復帰した時にそれまでのワークスタイルを見直すことにしました。

具体的に変えたことは「残業をしないこと、付き合い酒を断ること、組織の仕事に依存しないこと」の3つ。評価や上司・同僚の視線を気にしていては再び消耗していくように感じ、健康を取り戻すにはとにかく早く帰って寝よう、と割り切りました。何らかの精神疾患を経験すると「睡眠」の重要性に気付かされるのですが、良質な眠りを毎日確保できるかどうかがメンタルヘルスの維持には欠かせません。残業や付き合い酒を止めることで肉体的にも負担が減り心身が健康となり、心のゆとりも生まれました。

しかし残念ながら多くの伝統的な日本企業では発揮した成果よりも、時間的な貢献がその人の仕事の評価や人材登用につながります。ま、それは要らないやと選択することで、自然と出世レースから降りることになりました。

2. 地域の知人が増えた

平均21時退社を3時間縮め月に2回程度の飲み会を断ると、なんと毎月約70時間を確保できます。その時間を何に使うかはその人次第で、例えば習い事やジム通いをしても良いと思います。私の場合はずっと以前から実現したいと考えていた、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーを事業として形にし、地域社会にも役立てるような形作りを始めることにしました。始めた当初は無名で実績もありませんし、所属も肩書きもない自分がなかなか相手に受け入れてもらえないことを痛感する日々。ああ、今までは組織の名刺で仕事を“させてもらっていた”のだとそこで初めて知ることになり、「個人事業者や起業家って凄いなあ」と心から尊敬するようになりました。

同時に、毎朝都心に通勤しているだけでは決して出会えない地域のユニークな仲間が日に日に増えていきました。プロブロガー、兼業主夫、バルーンアーティスト主婦、市議会議員、PTA役員、自分と同じようにパラレルキャリア・パラレルワークな人々など。今更ながら人と出会う素直な喜びに気付きましたし、ネットワークに飛び込むことで自分の活動領域も広がっていきます。自分はこの地域に暮らしているのだなあ、という実感を初めて得ることになりました。

3. 家族と仲良くなった

個人の事業を始めた当初、子どもは幼稚園児と乳児。実際には空いた時間はまずは家事育児に振り向け、それでも何とか確保できた時間を自分の活動に充てました。おそらく以前のままの働き方や価値観のままでは妻に子育てのほぼ全てを委ねていたでしょうし、子どもたちと共有する時間を今ほど大切だと理解することはできなかったでしょう。

日本の男性が家事育児に関わる一日あたりの平均時間はたった1時間7分だそうで(出典:内閣府 平成25年度男女共同参画白書)、それは諸外国の半分から三分の一の少なさです。育メンがスタイルとしてもてはやされることは素晴らしいですが、実際に家事育児にどれだけ時間を使ってるかという「質より量」を大事にすることで、家族と仲良くなれるのだと実感しています。

4. 時間の使い方が上手になった

結局、何だかんだとても忙しい毎日です。ブログの記事を一本書くのにも、落ち着いてカフェで思考を巡らせて、なんて夢のまた夢。家事育児と勤めの仕事を片付けるすき間の時間に、思いつくことや実現したいことを書き出し、アイデアをひねり、徐々に形にしていきます。

移動時間は貴重な作業時間になりましたし、土日の過ごし方は遊びも含めて2ヶ月くらい先まではある程度計画しておきます。10分間が貴重だと身に染みて思うと、限られた時間の中で逆にアイデアや良い文章が生まれてくる不思議を感じています。

5. 定年や老後が怖くなくなった

そうして日々過ごしているとワクワクが増えました。ありがたいことにセミナーの受講者から新たなネットワークへのお誘いをいただいたり、地域の子育てサークルからファシリテーターとして声がかかったり、予想外のコラボの計画が持ち上がったり。

定年とか老後という概念は実は最近のもので、サラリーマンが働き方の主流となった高度成長期以降、ここ半世紀のことです。それ以前はほとんどの人々は一次・二次産業に従事し、それぞれが手仕事を持って生涯現役が常だったのです。個人の想いを事業という形にすることで、定年や老後という線引き自体を意識しなくなりました。

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最近は、サラリーマンのパラレルキャリア・パラレルワークを能力開発の有効な手段として価値視する見方も出てきました(参考:Works133号「副業=複業に人事はどう向き合う?」 リクルートワークス研究所)。成功や効率をただ盲目的に求めるのではない、しなやかな生き方を選択する人が確実に増えてきています。

社会が本当に変わるのにはまだ数年はかかるのでしょうが、今後も一人のパラレルキャリア・ワーカーとして自分の価値観に正直に行動し、自分に近い半径から少しずつ良い変化を起こしていきたいと思います。

地方に移住すれば何かが解決する、という誤解

最近、田舎に移住してwebで年商2,000万だとか、そこで有料記事を書き一ヶ月足らずで60万売り上げたとか、そういう話が目に入ってくることがある。これはそれぞれの価値観の話であるし、人の価値観は他人により否定される類のものではないので、あくまで私自身がこうありたいと思うことを記してみることにする。

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本来、収入の額を誇ったり他人と比較する行動というのは自分自身の本質的な充足感とは対極にあるもので、そこに神経をすり減らし消耗しても何も得られない。対照的に経済的な尺度ではない自然から得られる価値にスポットライトが当たり、いま自然に寄り添うライフスタイルが注目されているわけだ。

現状の課題として、都市特に東京に一極集中した人口の偏りが社会を不安定にしている側面はあるので、それを分散化させる方向での政策には一理あるし、自然災害への適応という意味も含めてその方向に動いていくことは良いと思う。しかしながら直ぐに大人数の地方移転が現実化するものではないので、「都市か地方か」の議論の押し合いをただ重ねても問題解決は一向に進まないと考えている。何よりも私たちのごく日常の生活、消費行動やその源にある価値観の見直し・転換という面からアプローチしていくことが大切だ。

周囲を見渡すと既に様々な課題が私たちを取り巻いているのに、表層的な幸福感や利便性で感覚を惑わされていると感じる。

amazonで何でも買えて、当日配送すらしてくれる

・100円ショップには、普通に考えて採算の取れないモノがあふれている

・どんな食材なのか、300円を下回る弁当が売られている

・真夜中にもコンビニが空いている

昔から悪貨は良貨を駆逐すると言うが、安さ早さの提供合戦、チキンレースの先には恐らく持続可能な社会の実現は無いだろう。モノを得るには相応の対価をきちんと支払うことで生産・流通が健全に成り立ち、ひいては消費者も安定した恵みを享受できる。

田舎に住むことの良い点の一つは、こういった表層的な幸福感、過度な安さや便利さの追求を切り離しリセットできることにあるように思う。自分自身、農村の外れに生まれ育ち小学校は1クラス、閉鎖社会とも言える地域に高校卒業するまでの18年間身を置いた。コンビニが出来たのは18で実家を離れた数年後だったし、最も近いマクドナルドまでは車で30分ほどかかった。野菜は自宅前の畑の脇に設置された無人販売に並んでいるキュウリや白菜で足りていたし、そもそも貰った小遣いを使う店やサービスが小さな一軒の駄菓子屋以外に存在していなかった。

しかしそれが良いことだ、とは住んでいる当時は全く感じることはなかった。田舎いいねぇ、というのは都会暮らしを知っているから言えるのであって、田舎に居続けていたらそんなことは微塵も感じられない。都会での情報へのアクセスの便利さと窮屈さを知って初めて、それが無いことの心地よさを知ることになるのだ。

何が言いたいかと言うと、もしあなたが幸いにして地方に移住し満たされた生活を実現したとして、そのことを声高らかに他人に誇ったり押し付けたりする話ではないということだ。せっかく地方に移住したならば都会にいた時と同じような貨幣価値を追うことをやめ、経済的な尺度では計れない自然の価値を受け入れるのが良い。そして間違っても他人と比べてどうの、なんてつまらない満足感で自分を満たさないこと。自分が自然に囲まれ満たされた姿を見て「いいなぁ」と感じる人が出てきて、少しずつ良い影響が周囲に広がっていくことが、幸せな解決への道のりではないだろうか。

そして様々な事情で都市に居続ける私たちは、田舎に移住しなくたってやれること、変えられることは山のようにある。消費の仕方や働き方も、自分次第でどうにでも持続可能に変えられる。横並びから少し外れるとあれこれ言われるからやらないのではなく、率先してレールから外れてみる。皆が「普通」と思い込んできたコアの中身は実は空っぽで、それぞれがそれぞれに異なる理想の生き方、働き方があるはずだ。それを求めていく先にこそ、今の世の中の様々な問題を解決するヒントがあるものと私は考えている。




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「何となく繋がっている人」が不思議と人生に影響を与える理由

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お互いの関係性は薄く日頃頻繁に会ったり連絡することは無いのだけど、ある一部に共通する経験や関心があり、うっすらとつながっている知人を「薄トモ」と呼びます(勝手に命名)。一見、あまり影響のない存在だと思われがちですが、この「薄トモ」と数多くつながっておくとむしろ人生に良い影響を与えるような大切な出来事に巡り合う可能性がありますよ、というお話です。

例えばこんなこと。
・旅先でたった一度出会いその後は特段のやりとりの無い"Facebookのみ友だち"が、ある時とても共感する内容の記事をシェアしてその時心底悩んでいた問題解決のヒントになった

・高校の同級生で年賀状のやりとりくらいの付き合いだったが、ある年に帰省した際ランチの誘いがあり話を聞くと、自分が目指すキャリアのロールモデルのような存在になっていた

・子どもの小学校のPTAの集まりで知り合った地域の人と何と無くつながっていたら、ある時に誘われて以前から関心の深かった地域防災に関わる有意義なネットワークに参加でき新たな仕事が生まれた

これらに共通することは日頃それほど接点が多く無く、特段親しくもないけれども長くつながっている知人から得られる情報について、その大半は自分にとって価値の無い情報で"流れて"いってしまうが、元々何らかの接点もしくは共通点があるため忘れた頃にズドンとその時欲していたストライクの情報を得られる可能性があるということです。また自分自身が時間の経過と共に成長したり変化していくことで、過去には強く関心を示さなかった話題が今は物凄くホットに感じていて、自分にとって有益な情報をもたらす専門家が実は過去のつながりの中にいた、ということでもあります。

この話のポイントは、逆に関係が近すぎたり親しすぎる人、例えば日頃顔を合わせる機会の多い社内の同僚や大学時代からの親友・家族親戚などとは、得ている知識や人脈の重なりが既に大きくそのネットワークから新たに得られる情報や驚きは少ないという事実です。

この考え方を学術的に提唱したのが米国の社会学マーク・グラノヴェッター - Wikipediaという人で"the strengs of weak ties"(弱い紐帯の強さ)という論文で示した理論です。
※ちゅうたい【紐帯】=(ひもや帯のように)二つのものを結びつけて、つながりを持たせる、大切なもの。(Google翻訳

元々この研究は人々が新たな仕事を探す際に、親しい人から紹介されるよりもつながりの薄い人からの情報に従って職を得た人の方が多い、というジョブマッチングの仕組みを明らかにしたものでした。これは求職情報に限らず、情報の価値や伝播という側面であらゆる種類の情報に共通する、世の中に存在する人的ネットワークの見えざる仕組みと言えるでしょう。

私自身もこの理論の存在を初めて知ったのは卒業から20年が経過した大学のサークルOB・OG会での、更に20年先輩のスピーチにおいてでした。その方とは初対面でしたが、同一の活動を大学時代に経験したという細い紐でつながった関係の中で深く共感する話題でしたし、実際にその場で今後のキャリア形成に好影響を与えるであろう新たな情報とつながりを得ることができました。まさに「薄トモ=弱い紐の強さ」の重要性を実感した瞬間です。

思うに、やはり大切なのは自分に近接している同質化した社会に安住しているだけでは何ら発展性を得ることはできないであろうということです。”仕事熱心なサラリーマン”に伝えたいことは、同じ組織の中で小さく動き回る社内政治や、変わり映えしないメンバーでの飲み会の数を重ねていくことはその場しのぎの自己満足に過ぎず、何ら自らの将来の可能性を広げることにはつながっていかないということです。

一方でプライベートの名刺を持ち年間100枚を減らすことができたならば、それは新たに100本の弱い紐を地域社会や何らか特定分野の人たちと結んだことになります。普段は関わり合いが少ないけれども何か価値観や経験の一部を共有する「薄トモ」を数多く作っておくことで、それは数年のうちに新たな何かを生み出す貴重な種となり育っていくのです。

知ってる人はやっている"生み出す会議"の進め方

日ごろ仕事をしていると、どうにも無意味に感じてしまう会議に出会うことがありますね。できればそんな会議は一掃したいですが、文句だけを連ねても解決しません。会議の生産性を高め、何かを"生み出す"効果を発揮する会議の進め方をお伝えします。

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1.拡散→収束のステップを踏む
まずはアイデアを数多く出します。あるいは、決定すべき賛否の理由を数多く挙げます。とにかくスタートは多くの材料をテーブルの上に広げることから始めます。年齢や役職に関係なくお互いがイーブンの立場で意見を出し合うことが、最終的に得られる結論の納得感を高め、それに続く行動が意味あるものに変化します。
そうして十分に拡散したのちに、結論を見出す方向へ絞り込んでいき、収束させていくことを意識します。区切りごとに参加者の合意を確認し、積み重ねていきます。大切なのは安易に前の決定を翻さないこと。一つ一つの小さな決定の積み重ねが大きな意思決定を支え、そこに一本筋の通った論理性を持たせます。

2.戦略→戦術の2段階で考える
イデアを考える際にはまず大きな枠組み、戦略から検討します。目的を達成するために、あるいは課題を解決するためにどの方向に向かってどんなシナリオを描くのか、という俯瞰の議論です。Aという商品を通じて我々は社会にどのようなメッセージを届けたいのか、Aという商品のコンセプトが消費者に伝わった時、世の中はどのように変化するのか、といった少し先の未来を捉えた大きな議論です。
これを十分詰めてメンバー内で意思統一できたら、その戦略を具体的に進める戦術について考えます。Aという商品の認知度を高めるにはどうしたら良いか、Aという商品のある生活イメージをどのように共有するのか等々、実際に何をやるかという行動ベースの話はこの戦術になります。ただし戦略なき戦術は早々に行き詰まってしまうので、戦略→戦術の順序が大切になります。

3.つなげる・捨てる発想から
イデアや考えを形にする時、ゼロから素晴らしいものを生み出すことができれば良いですが、実際それは困難を要しますし、今回できても毎回は難しい、という実感を誰しもお持ちだと思います。そこで大切なのは、アイデアは常に"新規"である必要は無いということです。AとBという普段は交わることの無いもの同士をつなげることで、そのマーケットにおいては新規性の高いサービス、ということも十分にありえます。性質の異なる二つをつなげる、という引き出しを意識するだけでアウトプットの幅が広がります。
また「捨てる」ということも同時にアイデアを研ぎ澄ますことにつながります。誰にも好まれる商品は誰にも好まれない、というジレンマから抜け出すために、機能の一部をあえて使わない・対象を限定する・時間や空間に制限を設けるなど"捨てる"ことで全体を特徴づけ他と異なる差別化を目指すことができます。かの経営学マイケル・ポーターの有名な「競争戦略論」という、企業が他に秀でるための戦略についての要旨は「他と違うことをすること、やらないことを決めること」でした。私たちが日常関わるモノゴトもほぼ同様と考えて良いと思います。

4.今どのへん?と声に出す役割
その会議がいまどの辺りにあるのか"天の声"を誰かが出す、ということです。「今日のゴールはA.B.Cのテーマを決めることでしたね」「いま30分経過しました。今日の議題はあと4つありますよ」「皆さん疲れてきましたか?少しブレイク入れませんか」「ここで今日の議論を一度振り返ってみましょう」「皆さん納得していますか?いま、率直にどんな気持ちですか」「さて、間もなく予定の60分になります。次の予定もそれぞれあるでしょうから、この辺りで一度まとめましょう」など。
会議の際に全員が議論に熱中してしまうと、議論全体を効果的に動かす力がやや失われたり、迷走したりしがちです。メンバーの中の一人が「今どのへん?」とナビゲーションする立場、すなわちファシリテーターの役割を担うことで会議の成果やアウトプットの質を高めることに大きく寄与します。

さて、"生み出す会議"の進め方、いかがでしたか?これから年度末、新年度に向かって何かとまとめの議論を重ねる時期という方も多いと思います、それが有意義な時間となるよう活用してくださると嬉しいです。




■主催セミナー情報
「子どものための自己紹介のコツ」1/23(土)、2/21(日)

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【実録版】すぐできる・だれでもできるファシリテーション講座

先月に開催したファシリテーション講座の資料を、解説とともに掲載します。私自身としては初めてのプログラムですのでまだ改善の余地は十分にあると思いますが、心がけたことは「過度に詰め込まない」こと。ファシリテーションってこういうモノなんだ、と誰もが理解できれば自然と広がっていきます。そしてファシリテーションを行う人だけでなく、より多くの方が参加者の立場としてファシリテーションの意味を理解することが大切だと思い、公開します。それでは、始まります。 


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 ファシリテーションという言葉は、だいぶ世の中で認知されるようになりました。メディアや仕事を通じて耳にする機会が増えましたね。


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具体的には、どんなイメージですか?何を指して「ファシリテーション」と言うのでしょうか、思い浮かべてみましょう。


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「あらゆる知的活動」をスムーズに進めていくための働きかけをファシリテーションと言います。特定の場面、例えば野外でのワークショップなど限られた機会だけではなく、会議室の数名での会議などでも使える技術です。 人数や場所を問いません。


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ファシリテーションは"Facilitate=促す"という意味から発展した考え方。では、ファシリテーターとは具体的にはどんな役割なのでしょうか?

 

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ファシリテーターの役割には「場の設定」「場の進行」「相互作用」と 大きく3つあります。一つずつ見ていきましょう。


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話すだけがファシリテーションではなく、まずどのような場づくりをするか構想を立てるところから始まります。会場や設備、参加者の人数や構成を考え、効果が最大化する設定を見つけます。

 

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そして、いよいよ進行役として場を動かす役割です。様々なテクニックの前提として、相手にわかりやすく意図を伝えるプレゼン技術をきちんと習得することをお勧めします。

 

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一つの時間をいくつかの場面に分割して、それぞれの狙いを定めて最適な運営方法を実施します。引き出しはたくさんあった方が飽きさせず、相手に合わせて様々な演出ができます。舞台監督のようなイメージで、ひと固まりの時間を楽しく有意義に創り上げることが、最終的に良質なアウトプットにつながります。

 

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相互作用とは、複数の人から生まれる「プラスアルファ」のこと。1+1=3以上を目指せることが、ファシリテーションの醍醐味。細やかに参加者の状態を見つめ、意見を引き出していくための自然で力強い「問い」を投げかけることが大切。

 

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Q&A。どんな印象でしたか? 今回は入り口として全体像を理解することに焦点を絞りました。ファシリテーションの多岐に渡る詳細な技術論はまた別の機会に。


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ファシリテーションは技術論だけでも十分でなく、反面精神論だけでも完成されないものと考えています。双方が交わり強みを発揮して初めて、その場その場に合わせた適切な場作りにつながります。常に主体である「相手=参加者」に寄り添い、力づける気持ちでファシリテーションに臨みたいですね。

 

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一人でも多くの方がファシリテーターを目指し、社会をより良く変えていく力となりますように。そしてより多くの方がファシリテーションの醍醐味を知り、周囲との対話を楽しめますように! 



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