【3/12土】起業女子のための「プロブロガーのweb戦略」&「開業のコツ」セミナー
死んだ魚の目をしているのは満員電車だからでも、サラリーマンだからでもない、という話
サラリーマンの出世レースから降りて良かった5つのこと
私は現在サラリーマンの仕事と別に、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーの講師をしています。最近少しずつ聞かれるようになった“パラレルキャリア・パラレルワーク”という働き方、生き方です。そんな形に切り替えて3年ほどが経ちましたが、続けてみてとても良いなあと感じていることを今日はご紹介します。
1. 健康になった
そもそも、このような働き方に変えたきっかけは健康問題でした。10年ほど前に人事異動を機にメンタルヘルスを崩し、休職とリハビリ勤務を経験しました。当時の詳しい経緯は過去記事に記載していますが、ともかく職場に復帰した時にそれまでのワークスタイルを見直すことにしました。
具体的に変えたことは「残業をしないこと、付き合い酒を断ること、組織の仕事に依存しないこと」の3つ。評価や上司・同僚の視線を気にしていては再び消耗していくように感じ、健康を取り戻すにはとにかく早く帰って寝よう、と割り切りました。何らかの精神疾患を経験すると「睡眠」の重要性に気付かされるのですが、良質な眠りを毎日確保できるかどうかがメンタルヘルスの維持には欠かせません。残業や付き合い酒を止めることで肉体的にも負担が減り心身が健康となり、心のゆとりも生まれました。
しかし残念ながら多くの伝統的な日本企業では発揮した成果よりも、時間的な貢献がその人の仕事の評価や人材登用につながります。ま、それは要らないやと選択することで、自然と出世レースから降りることになりました。
2. 地域の知人が増えた
平均21時退社を3時間縮め月に2回程度の飲み会を断ると、なんと毎月約70時間を確保できます。その時間を何に使うかはその人次第で、例えば習い事やジム通いをしても良いと思います。私の場合はずっと以前から実現したいと考えていた、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーを事業として形にし、地域社会にも役立てるような形作りを始めることにしました。始めた当初は無名で実績もありませんし、所属も肩書きもない自分がなかなか相手に受け入れてもらえないことを痛感する日々。ああ、今までは組織の名刺で仕事を“させてもらっていた”のだとそこで初めて知ることになり、「個人事業者や起業家って凄いなあ」と心から尊敬するようになりました。
同時に、毎朝都心に通勤しているだけでは決して出会えない地域のユニークな仲間が日に日に増えていきました。プロブロガー、兼業主夫、バルーンアーティスト主婦、市議会議員、PTA役員、自分と同じようにパラレルキャリア・パラレルワークな人々など。今更ながら人と出会う素直な喜びに気付きましたし、ネットワークに飛び込むことで自分の活動領域も広がっていきます。自分はこの地域に暮らしているのだなあ、という実感を初めて得ることになりました。
3. 家族と仲良くなった
個人の事業を始めた当初、子どもは幼稚園児と乳児。実際には空いた時間はまずは家事育児に振り向け、それでも何とか確保できた時間を自分の活動に充てました。おそらく以前のままの働き方や価値観のままでは妻に子育てのほぼ全てを委ねていたでしょうし、子どもたちと共有する時間を今ほど大切だと理解することはできなかったでしょう。
日本の男性が家事育児に関わる一日あたりの平均時間はたった1時間7分だそうで(出典:内閣府 平成25年度男女共同参画白書)、それは諸外国の半分から三分の一の少なさです。育メンがスタイルとしてもてはやされることは素晴らしいですが、実際に家事育児にどれだけ時間を使ってるかという「質より量」を大事にすることで、家族と仲良くなれるのだと実感しています。
4. 時間の使い方が上手になった
結局、何だかんだとても忙しい毎日です。ブログの記事を一本書くのにも、落ち着いてカフェで思考を巡らせて、なんて夢のまた夢。家事育児と勤めの仕事を片付けるすき間の時間に、思いつくことや実現したいことを書き出し、アイデアをひねり、徐々に形にしていきます。
移動時間は貴重な作業時間になりましたし、土日の過ごし方は遊びも含めて2ヶ月くらい先まではある程度計画しておきます。10分間が貴重だと身に染みて思うと、限られた時間の中で逆にアイデアや良い文章が生まれてくる不思議を感じています。
5. 定年や老後が怖くなくなった
そうして日々過ごしているとワクワクが増えました。ありがたいことにセミナーの受講者から新たなネットワークへのお誘いをいただいたり、地域の子育てサークルからファシリテーターとして声がかかったり、予想外のコラボの計画が持ち上がったり。
定年とか老後という概念は実は最近のもので、サラリーマンが働き方の主流となった高度成長期以降、ここ半世紀のことです。それ以前はほとんどの人々は一次・二次産業に従事し、それぞれが手仕事を持って生涯現役が常だったのです。個人の想いを事業という形にすることで、定年や老後という線引き自体を意識しなくなりました。
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最近は、サラリーマンのパラレルキャリア・パラレルワークを能力開発の有効な手段として価値視する見方も出てきました(参考:Works133号「副業=複業に人事はどう向き合う?」 リクルートワークス研究所)。成功や効率をただ盲目的に求めるのではない、しなやかな生き方を選択する人が確実に増えてきています。
社会が本当に変わるのにはまだ数年はかかるのでしょうが、今後も一人のパラレルキャリア・ワーカーとして自分の価値観に正直に行動し、自分に近い半径から少しずつ良い変化を起こしていきたいと思います。
地方に移住すれば何かが解決する、という誤解
「何となく繋がっている人」が不思議と人生に影響を与える理由
お互いの関係性は薄く日頃頻繁に会ったり連絡することは無いのだけど、ある一部に共通する経験や関心があり、うっすらとつながっている知人を「薄トモ」と呼びます(勝手に命名)。一見、あまり影響のない存在だと思われがちですが、この「薄トモ」と数多くつながっておくとむしろ人生に良い影響を与えるような大切な出来事に巡り合う可能性がありますよ、というお話です。
例えばこんなこと。
・旅先でたった一度出会いその後は特段のやりとりの無い"Facebookのみ友だち"が、ある時とても共感する内容の記事をシェアしてその時心底悩んでいた問題解決のヒントになった
・高校の同級生で年賀状のやりとりくらいの付き合いだったが、ある年に帰省した際ランチの誘いがあり話を聞くと、自分が目指すキャリアのロールモデルのような存在になっていた
・子どもの小学校のPTAの集まりで知り合った地域の人と何と無くつながっていたら、ある時に誘われて以前から関心の深かった地域防災に関わる有意義なネットワークに参加でき新たな仕事が生まれた
これらに共通することは日頃それほど接点が多く無く、特段親しくもないけれども長くつながっている知人から得られる情報について、その大半は自分にとって価値の無い情報で"流れて"いってしまうが、元々何らかの接点もしくは共通点があるため忘れた頃にズドンとその時欲していたストライクの情報を得られる可能性があるということです。また自分自身が時間の経過と共に成長したり変化していくことで、過去には強く関心を示さなかった話題が今は物凄くホットに感じていて、自分にとって有益な情報をもたらす専門家が実は過去のつながりの中にいた、ということでもあります。
この話のポイントは、逆に関係が近すぎたり親しすぎる人、例えば日頃顔を合わせる機会の多い社内の同僚や大学時代からの親友・家族親戚などとは、得ている知識や人脈の重なりが既に大きくそのネットワークから新たに得られる情報や驚きは少ないという事実です。
この考え方を学術的に提唱したのが米国の社会学者マーク・グラノヴェッター - Wikipediaという人で"the strengs of weak ties"(弱い紐帯の強さ)という論文で示した理論です。
※ちゅうたい【紐帯】=(ひもや帯のように)二つのものを結びつけて、つながりを持たせる、大切なもの。(Google翻訳)
元々この研究は人々が新たな仕事を探す際に、親しい人から紹介されるよりもつながりの薄い人からの情報に従って職を得た人の方が多い、というジョブマッチングの仕組みを明らかにしたものでした。これは求職情報に限らず、情報の価値や伝播という側面であらゆる種類の情報に共通する、世の中に存在する人的ネットワークの見えざる仕組みと言えるでしょう。
私自身もこの理論の存在を初めて知ったのは卒業から20年が経過した大学のサークルOB・OG会での、更に20年先輩のスピーチにおいてでした。その方とは初対面でしたが、同一の活動を大学時代に経験したという細い紐でつながった関係の中で深く共感する話題でしたし、実際にその場で今後のキャリア形成に好影響を与えるであろう新たな情報とつながりを得ることができました。まさに「薄トモ=弱い紐の強さ」の重要性を実感した瞬間です。
思うに、やはり大切なのは自分に近接している同質化した社会に安住しているだけでは何ら発展性を得ることはできないであろうということです。”仕事熱心なサラリーマン”に伝えたいことは、同じ組織の中で小さく動き回る社内政治や、変わり映えしないメンバーでの飲み会の数を重ねていくことはその場しのぎの自己満足に過ぎず、何ら自らの将来の可能性を広げることにはつながっていかないということです。
一方でプライベートの名刺を持ち年間100枚を減らすことができたならば、それは新たに100本の弱い紐を地域社会や何らか特定分野の人たちと結んだことになります。普段は関わり合いが少ないけれども何か価値観や経験の一部を共有する「薄トモ」を数多く作っておくことで、それは数年のうちに新たな何かを生み出す貴重な種となり育っていくのです。
知ってる人はやっている"生み出す会議"の進め方
【実録版】すぐできる・だれでもできるファシリテーション講座
先月に開催したファシリテーション講座の資料を、解説とともに掲載します。私自身としては初めてのプログラムですのでまだ改善の余地は十分にあると思いますが、心がけたことは「過度に詰め込まない」こと。ファシリテーションってこういうモノなんだ、と誰もが理解できれば自然と広がっていきます。そしてファシリテーションを行う人だけでなく、より多くの方が参加者の立場としてファシリテーションの意味を理解することが大切だと思い、公開します。それでは、始まります。
ファシリテーションという言葉は、だいぶ世の中で認知されるようになりました。メディアや仕事を通じて耳にする機会が増えましたね。
具体的には、どんなイメージですか?何を指して「ファシリテーション」と言うのでしょうか、思い浮かべてみましょう。
「あらゆる知的活動」をスムーズに進めていくための働きかけをファシリテーションと言います。特定の場面、例えば野外でのワークショップなど限られた機会だけではなく、会議室の数名での会議などでも使える技術です。 人数や場所を問いません。
ファシリテーションは"Facilitate=促す"という意味から発展した考え方。では、ファシリテーターとは具体的にはどんな役割なのでしょうか?
ファシリテーターの役割には「場の設定」「場の進行」「相互作用」と 大きく3つあります。一つずつ見ていきましょう。
話すだけがファシリテーションではなく、まずどのような場づくりをするか構想を立てるところから始まります。会場や設備、参加者の人数や構成を考え、効果が最大化する設定を見つけます。
そして、いよいよ進行役として場を動かす役割です。様々なテクニックの前提として、相手にわかりやすく意図を伝えるプレゼン技術をきちんと習得することをお勧めします。
一つの時間をいくつかの場面に分割して、それぞれの狙いを定めて最適な運営方法を実施します。引き出しはたくさんあった方が飽きさせず、相手に合わせて様々な演出ができます。舞台監督のようなイメージで、ひと固まりの時間を楽しく有意義に創り上げることが、最終的に良質なアウトプットにつながります。
相互作用とは、複数の人から生まれる「プラスアルファ」のこと。1+1=3以上を目指せることが、ファシリテーションの醍醐味。細やかに参加者の状態を見つめ、意見を引き出していくための自然で力強い「問い」を投げかけることが大切。
Q&A。どんな印象でしたか? 今回は入り口として全体像を理解することに焦点を絞りました。ファシリテーションの多岐に渡る詳細な技術論はまた別の機会に。
ファシリテーションは技術論だけでも十分でなく、反面精神論だけでも完成されないものと考えています。双方が交わり強みを発揮して初めて、その場その場に合わせた適切な場作りにつながります。常に主体である「相手=参加者」に寄り添い、力づける気持ちでファシリテーションに臨みたいですね。
一人でも多くの方がファシリテーターを目指し、社会をより良く変えていく力となりますように。そしてより多くの方がファシリテーションの醍醐味を知り、周囲との対話を楽しめますように!