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会社を辞めても「脱社畜」したことにはならない

その語感からして大変ネガティブな概念で、どうにも受け入れがたい印象があるのだが、現実としてそういう立場や働き方があることも事実として受け止め、ではどのようにしたらそこから脱することができるかを考えてみたい。

 

結論から言うと、単純に会社を辞めても「脱社畜」したことにはならない、と私は思う。勤務先が変わっても周囲の状況次第では、また同じような立場になってしまう可能性が十分にあるからだ。仮に起業して自分が経営者になったとしても、上司がいないという事実以外に制約となる要素は山ほどあり、シゴトに縛られている精神的な状態に変わりはない。

企業人を「社畜」たらしめている要素を整理すると、「ポジティブ要因」「ネガティブ要因」の2つに分けられると思う。
「ボジティブ要因」とは、
・収入が安定する
・社会的な信用を得る
・居場所がある
などであり、これらは個人にとって得るものがある代わりに時間的な拘束を拒否できないという、やめたくてもやめられない要因である。

一方「ネガティブ要因」とは、
・勤務時間が不要に長く、残業が多い
・上司や組織全体のマネジメントが劣悪
・自分の意見が言えない、通らない
などであり、これらは上記の「ポジティブ要因」の存在に関わらず発生するもので、個人にとって得るものが少なく失うものが多い要因である。

会社を辞めるという判断は「ネガティブ要因」の被害や負担から逃れるためになされる行動であると考えられるが、同時に「ポジティブ要因」をも捨てざるを得ない。ところが住宅ローンや新たな就職先が決まらない等の事情でその決断は容易ではない。つまり「ポジティブ要因」によっても、拘束されているという意味では同等に強く作用している。

 

ではどうしたら良いのか。まずは何より、自分を軸とした新たな価値観を定め、外形に囚われずに本質を重視するという姿勢を持つことである。○○株式会社に所属しているから格好良いとか、年収が○○万円あるからステイタスだとか、勤務先での仕事に従属的で受動的なやりがいを見出して満足しているとか、そういう一切の要素を見直すというということだ。「ポジティブ要因」は本当に自分にとってポジティブなものなのかどうか、一度懐疑的に見直してみることが価値感の転換には必要だ。

そして、「ネガティブ要因」に対してはそれに従うのでなく、現実を変える具体的な行動を自分から行うことが大切だ。残業の多くの要因は「時間内に解決するスキルの不足」か「組織の雰囲気に合わせたつきあい残業」である。前者については、まず業務に必要な知識・スキルをプロフェッショナルとして身につけること。そしてシゴト全体を適切にコントロールするタイムマネジメント能力と、優先順位を正しくつけ不要なシゴトは捨てるという判断力を磨くことである。後者の「つきあい残業」については、周囲にどう思われようと「仕事を時間内に終えたらすぐ帰る」という、ごく単純な行動を意思を持って継続することである。

上司や組織全体のマネジメントが劣悪であったり、自分の意見が言えない・通らないことによるストレスに対しては、その根っこの部分に向き合い、変えることである。マネジメント不全の真の要因は何か、自分ができることと周囲を動かしてやってみることはないか、主体性を持って考えることが大切だ。上司や組織はこちらが思っている以上に、持っている知恵は少ないもので、不安と闘っている。自分が主体性を発揮することで、自分に対する期待役割は自然と変化する。

 

これらの行動をしてみてようやく「脱社畜」が実現するのである。会社を辞めるかどうかではなく、精神的な従属を取り払い自立した行動をすることが何より大切なのだ。

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