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ではマネジメントスキルとは何か、という話。

なぜ上司は「無能」なのか? - 三つ数えろ

 こちらを読みました。たいへん的を得た指摘だと思う。営業成績抜群のエースが課長になった途端、自分と同じ成功スタイルを部下に押し付け、誤ったマネジメントで迷走するという話はどこの組織でも起きている。そしてそれは部分的な問題ではなく、そもそもマネジメント職の期待役割を定義していない組織全体の、また社会の課題でもある。

日本代表監督のアルベルト・ザッケローニという人は、プロサッカー選手としてのキャリアは無い。保険代理店を営むかたわら、週末に空き地で行う寄せ集めサッカーチームのコーチを起点にしてサッカーの指導者としてのキャリアを重ね、現在に至っている。アメリカ大リーグの監督でも、過去の名選手ではなかったが指導者としての素晴らしい能力を発揮している例は多々ある。

優秀な選手イコール優秀な指導者でない、ということに日本人の誰もが気づいているにも関わらず、同じ過ちを繰り返している要因はどこにあるのだろうか。スポーツ界だけでなく、ビジネス界においても。

 

一つには、管理職に必要な特有のスキルに対する価値の置き方が非常に弱いという点にある。指導者には管理職としての「マネジメントスキル」が必要だ。これは独立した別個のスキルであり、プレーヤーとしてのスキルの延長線上には、ほぼ無い。

マネジメントスキルを端的に整理するならば、それは対話と観察から相手を理解し
「能力を見定めるスキル」であり、そのメンバーを気持ちよく泳がせる「委任のスキル」であり、組織を順回転させる「権限運用のスキル」である。

・「能力を見定める」ということは、保有戦力ができることとできないことを理解し、意思決定のための正確な選択肢を持つ、眼力である。

・「委任する」ということは、近い将来に起きうる結果を正確にその結果を自分が受け入れるのと同時に、やや遠い将来についてのビジョンを描く、デザイン力である。

・「権限運用する」ということは、管理職が持つピストルの強さを理解し、極力それを使わずに組織をまとめる、権限に依存しないコミュニケーション力である。

 マネジメントスキルの要諦は、ほぼこの3つに集約されていると言ってよい。これらは、経験年数や年齢ではなく、学ぶ意思を持って学ぶスキルである。また、この役割を得意とする人材も世の中におり、それは一つの専門的な能力でもある。部下より「過去の仕事の成果」が小さくても、管理職として優れた能力を発揮する人材が組織には必要なのである。

日本の大企業に必要なことは、こういう人材を受け入れ認める度量の広さである。名もない組織の出身者を中途採用し、持っている能力を活かす決断である。リストラ対象と思われた成果の伴わない社員の可能性に光を当て、任せる勇気である。

企業の行く末を左右するのも、夢と思われるワールドカップの優勝を現実化するのもまた、一人の管理職の力である。

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