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まちなかの農地を守る、とある魅力的なプロジェクトの話

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スキルノートの芦沢です。我が家では趣味として近所で小さな畑を一つ、遠くに大きな畑を一つ、家族で耕しています。最近小さな畑の方が地主さんの意向で宅地化することになり、仲介いただいている貸し農園会社に紹介された別の新たな畑を一区画借りて、少しずつ農作物の引越しをしています。まったくの初心者から5年間もお世話になった農地にはとても後ろ髪引かれる想いがあります。農作物はそれ以外に遠くの畑に移すもの、仕方なく廃棄するものと幾つかに分けて、先週末にようやく完了しました。 

 
宅地化された農地には大きなマンションが建ち一階にはスーパーマーケットの店舗が入るようです。振り返ると近所に残されていた農地がこの一年ほどで次々と宅地化され、建売り住宅やマンションに変わっています。何かあるのかな? と思っていたら、1991年に施行された生産緑地法における「市街化区域内の生産緑地」の有効期限が30年間のため、2022年までには一定農地が宅地化される動きがあるようです。(低い税率の農地から高い税率の宅地になってしまうので、所有しているより早く売却したいという所有者のご判断です。)
 
また、急激な宅地化で不動産市場の混乱を避けるため「特定生産緑地」の申請をして自治体から承認されれば10年間はまた農地として低い税率のまま使えるようですが、全てがそうなるわけでもなさそうです。少なくなった都市の畑がまた一つ、また一つと減っていくのだとしたら、素人ながら農業を愛する一人としては切ない気持ちになります。
 
*参考記事:ニッセイ基礎研究所/どうなる生産緑地の2022年問題。東京ドーム約2,800コ分の農地が消滅する? 
https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/92.html
 
さて、私たちにできることは何かあるだろうか。昨日参加した街の農地を守ろう、というシンポジウムで事例紹介がされていた「まちなか農家プロジェクト」という三鷹市の取り組みがヒントになりそうでしたので紹介します。
 
「まちなか農家プロジェクト」では数少なく地元で農業を営む若手世代の農家さん達と組んで、それを支援しようという何名かのコアメンバーと共に多様なイベントを企画したり、農家の声を直に聞いてインタビュー記事をweb配信したりしています。
 
まちなか農家プロジェクト http://machino.tokyo/ 

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 こちらでは「農地を守りましょう」「地元で野菜を買いましょう」という掛け声ではなく、気づいたらそうなっているという具体的で魅力的な企画・イベントを次々と繰り出しています。地元の大学生とコラボして新しいブルーベリーの飲み物を開発して街のカフェの定番メニューにしたり、農地の防災効果を知るため寒い時期に農地のビニールハウスで擬似的な避難体験や農作物を使った炊き出しをしたり、聞くだけで参加してみたい取り組みばかりです。月々1,300円を支払えば誰でも「会員」になることができ、特典として月に一度、新鮮な地場野菜の詰め合わせセット交換会に参加できたりと実によく考えられていて、それを楽しくみんなで盛り上げています。(会員のFacebookグループは会員それぞれの地元野菜情報や美味しいレシピの話など、いつも盛況です)
 
畑を守るためには畑を守っていても不十分、きっとそういうことなのだと思います。その農地が宅地化されることが土地の所有者にとっても農家にとっても周囲の住民にとっても行政にとっても合理的でなく、農地のままの方が地域の盛り上がりやつながりと地産野菜の売り上げやブランディングにとって明らかにプラスである、というムードづくりをいかに現実化していくか。それこそが結果的に都市農地を長く維持するモチベーションにつながると思うのです。「まちなか農家プロジェクト」の取り組みとそれに対する市民の皆さんの反応を聞き、そのように感じました。


さて、冒頭の写真は引越し先の小さな畑にある葡萄棚です。見事に多くの房がついていて美しい光景です。しかしこちらの農業もまた市街化区域内の生産緑地のため、いつまで続けられるかはまったくわかりません。何ができるのか、していくべきなのか、自身にも問い続けながら小さな趣味としての畑作業を続けていこうと思います。