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「2枚目の名刺」と「プランド・ハプンスタンス(計画された偶然)」の関係

最近「二枚目の名刺、パラレルキャリア」的な働き方がようやく世間の認知を得つつあります。私自身は4年ほど前から勤めの仕事を継続しながら、土日や休日を使ってプレゼン技術やロジカルシンキングなどに関する講座や何らかのテーマに関する場のファシリテーションを地域や組織で行ってきました。

複数の立場を並行して価値提供する「パラレルキャリア」の考え方は経営学ドラッカーが唱えていたもので案外歴史は古く、よくよく考えるとヒーロー物のストーリー例えばスパイダーマンは普段は新聞記者で誰かの危機を救う時はヒーローに変身するという、まさに二枚目の名刺な人だったわけです。戦国時代の農民は畑を耕す日常と、戦の時には軍に招集され兵となるパラレルキャリアが常でした。

一つの職業にのみ専ら集中するサラリーマン的な働き方というのは、戦後を経て高度経済成長の時代に大手資本へ労働力を集約した時が契機と言われていますので、実はたった50年の歴史しかありません。社会が経済的に潤い右肩上がりの成長を遂げていた時期は細かい課題は大きな成果に隠れ問題として認識されませんが、景気が減退し人口減少・低成長社会にシフトしつつある今その働き方や価値観を見直そうという動きはごく自然なものと言えますし、一つの職業や立場に縛られない近代以前のワークスタイルに再び注目が集まるのは理にかなっていることなのかもしれません。

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私自身の場合ですが、勤め先の組織は割と柔軟な就業規則を持ち、兼業禁止ではありません。事前に申請すれば報酬の有無に関わらず他の業務に従事することを条件付きで認められます。もちろん、公序良俗に反することや企業イメージを毀損する事業、また本業に近すぎる競合事業などは除外されますが、それ以外は目的や意義が妥当なものであればOKというものでしたので、幸いにして私の活動は認められ何も気兼ねすることなく個人としての活動を始めることができました。

パラレルキャリアの効用については研究者による事例分析も進み様々な効果や成長への寄与が言われています。実感としては視野と人脈が広がることと、何よりその道のプロフェッショナルとして自分のスキルに磨きをかけるプレッシャーに日々さらされ、自然と鍛えられることだと考えています。二枚目の名刺というと短絡的に本業との相乗効果、などど言われることもありますが、本来はそれが目的ではなく結果としてそうなれば良いねという話と理解していますので、目先の成果を追わないことが大切だとも感じています。

さてそんな風に取り組みを続けていると、いわゆる「棚からぼた餅」のようなラッキーが、ごくたまに舞い込んできます。二枚目の名刺を持っていたからこそ得られた新たな期待役割や、正攻法では到達できない場所へのショートカットなど意外な展開です。キャリア理論では自身のキャリア形成に大きな影響を与えるのは8割を占める偶然の出来事、すなわち就職活動の結果や入社時の配属、上司との相性やコントロールできない市場の変化であって、自ら計画して積み上げたものの影響は2割程度に過ぎない、という考え方があります。

と同時にそれをあきらめるのではなく「プランド・ハプンスタンス(計画された偶然)」として、その偶然をいかに予測しながら良いところを捕まえ活用できるか(=棚からぼた餅)、という対処の心構えがあります。二枚目の名刺を持つことで行動範囲が多様化し、「計画された偶然」との遭遇率が格段に高まることこそが、活動の醍醐味のように感じています。

おそらく多くのパラレルキャリアな人々はこの魅力に気づき、日々どんなことが起こるかわからない不思議な期待感が活動を継続していく動機づけになっているのではないかと思います。日々の仕事や人間関係に行き詰まりを感じたなら、ぜひ2枚目の名刺を持つことから始め、日々のワクワクが増えていく様を体験してみることをお勧めします。