skillnoteのブログ

「スキルで自分らしく」を応援します

「副業OK」に舵を切ったロート製薬を全力推しする4つの理由

関西の老舗メーカー「ロート製薬」が従業員に副業を認める方針に転換したことが話題です。記事によると勤務しながら他の企業やNPOに所属することができ、いわゆる兼業の状態を認めた形。その中には恐らく起業という選択肢もあるでしょうし、週末ボランティアとは一線を引く、そして時代の変化を感じる特徴的な判断になりました。

◆国内正社員1500人、副職OKに ロート製薬朝日新聞デジタル

私自身はパラレルキャリアとして「組織人の立場」と「市民活動および個人事業の立場」を併せ持つ働き方を続けています。このように企業が従業員に副業を認める動きには大いに賛成ですが、その理由を端的に4点お伝えします。

f:id:ASHIASHI:20160225211104j:plain

1.従業員からすると自己のコアスキルを磨くチャンス。一社のみのガラパゴスではその価値の良し悪しに気づき辛いが、二つ目の役割を得ることで自分自身の内面に客観性が生まれ、コアスキルをより正しく高める方向でキャリア形成することができる。

2.同じく従業員にとって、正社員であっても雇用の安定性が確保されない社会に今後ますますなっていくので、複数の収入源となりうる可能性のある取組を早期に始めることは人生設計としてのリスクマネジメントになる。今すぐ短期的な収益を求めるのではなく、元の雇用で生活の安定を維持しながら数年かけて二つ目の専門分野を計画的に地ならしするイメージが良い。

3.同じく従業員にとって、一つの仕事や役割への過度の依存を解消するチャンス。退職後も元の会社名や管理職の肩書きに後ろ髪を引かれ自立できない高齢者がいるが、それは一社終身雇用の弊害。複数の立場を持つことで、人生全体と仕事との関係性についてより合理的な理解を得られる。

4.雇用する側にとって将来的には、希望する労働者に副業前提の週3勤務などの体系化による賃金の見直しを行うことで人件費の圧縮が可能。人件費の圧縮は常に企業の課題であり、従業員とのwin-winでリストラと同等の効果を得られる。従業員個々の能力向上により自社のビジネスへもたらされるメリットは属人的な要素が多くまた時間も必要なため、短期的に目に見えたメリットは少ないかもしれない。しかし「社内の常識・社会の非常識」に気づくことで組織運営の健全化やパワハラ・セクハラ・モラハラ等の抑止につながる。

***

もし、サラリーマンの皆さんがこの記事を興味深く読まれたら「うちの会社は副業禁止だから」と反射的に言う前に、しっかりと就業規則の全文を読んでみてください。そもそもの前提として、会社が副業禁止を従業員に強いることが法的にOKなのかどうかは、実はグレーゾーンとされています(憲法における職業選択の自由)。したがって案外「副業禁止」を明記している企業ばかりではない、という実情があります。

そして就業規程の中には「社外での業務に従事する際の規程および申請方法」といった、何らか条件付きでの活動を認めるルールが存在することがあります。企業が副業を避けたい理由の一つは、副業を通じた情報漏えいリスクです。ですから「同業種での副業」は認めていない事が多く、逆に従業員にとっては副業までも今と同じ事をやる動機付けというのは低いでしょうから、他の分野で自分を試したり、新たな専門分野を得るチャンスが生まれてきます。

と、ここまで考えを書きましたが、タイムラインを眺めていましたら副業に賛成の上でこんな意見もありました。

・「副業なんて勝手にやればいい。僕も休職中に月20万くらいニュースサイトで売上立つようになって辞めた」(ニュースサイト「Mynews Japan」オーナー 編集長 渡邉正裕さん)

・「副業するなら、会社に隠れてこそこそやったほうがいい。会社は知っても素知らぬふりをしていればいい。そういう緊張感があるから、副業と本業をいかに効率的にやるか考える。認めたら、どっちも中途半端になるから意味がない」(「アナーキーマーケティング」の加藤元康さん)

このどちらの意見も、的を得ているなぁと思います。つまり、周到に環境を整えてから新しいことを始めるのと、情熱の赴くままにとにかくやってみるのと、どちらが求める姿に早く近づけるかというと圧倒的に後者でしょう。

しかしながら既存のルールが自由な行動を縛っていることも事実なので、限られた人だけがトライするのではなく、普通のサラリーマンがこれまでと異なる一歩を踏み出せるよう支援していくことには、やはり大きな価値があるのだと、私自身は思うのです。