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skillnoteのブログ

プレゼン技術、多様な働き方、パラレルキャリア

「多様な働き方」より「多様な働く目的」を認めることが残業問題を解決する

働き方 企業 ダイバシティ
昨今、ワークライフバランスの重要性が様々に叫ばれ、在宅勤務の活用や早朝出勤による"ゆう活"など、働き方の多様性を探る動きがあります。内閣府では「イクボス」というキャンペーンを通じ、部下のワークライフバランスや家事育児参加への理解に、しなやかに対応できる上司(ボス)の育成を勧めています。

働く"目的"の多様性

つまりそれらはいずれも「どのように働くか」という、「働き方の多様性」を認める労働文化の醸成です。しかしながら問題の根幹は本当にそこにあるのでしょうか。本当に大切なのは働き方の多様性ではなく「働く"目的"の多様性」を認めることにあるのではないかと、私は考えています。そこで、企業などの組織で働くサラリーマンを前提として、この問題点を少し掘り下げてみます。


☆Aさんの場合☆

・仕事を通じて、成長したい。

・仕事を通じて、自己実現したい。

・仕事の成果を向上させることは、自分自身の喜びだ。

・仕事の目標を達成するために、あらゆる資源をそこに使う。

・仕事の成果を認めてもらうことが、働く動機づけになっている。

・仕事への関わり方が、昇進によって強化されたり、広がったりする。

・仕事を通じた人脈は、自分の財産だ。

・仕事の事情によっては、家庭の都合は抑えなければならない時がある。

・仕事が充実することが、個人の充実には欠かせない。


良い悪いではなく、こういう価値観の人がこれまでのサラリーマンの(今も)95%くらいではないかなと、感覚的には思います。仕事を他の要素の少し上に置いて、生活設計やキャリア形成を進める考え方です。

一方で最近はそうでない方も増えてきており、それによりこれまで見えなかった働く上での課題が見え始めています。


☆Bさんの場合☆

・仕事は、生きていくための収入を得る手段。

・仕事の事情も大切だが、家庭や自分自身の事情も同等以上に大切。

・仕事と並行して、家事育児や介護に関わり、時間的な制約がある。

・仕事外の時間に、職場のメンバーと共に過ごすことにさほど価値を置かない。

・残業することで、個人として家庭や地域で果たすべき役割を圧迫したくない。

・仕事にやりがいは感じるが、それが自分全体に占める割合は全てではない。 

・仕事の評価や昇進は嬉しいが、それはキャリア形成の中心ではない。

・仕事以外に、やりがいを感じることのできる役割を持っている。

・会社でのキャリアは、人生全体のキャリアのごく一部に過ぎない。


このように、Bさんにとっての働く目的は、そもそもAさんとはだいぶ異なります。Aさんから見るとBさんは不真面目に映るかもしれません。なぜ、もっと一生懸命に仕事に関わろうとしないのか、と。しかしBさんとしては仕事には真面目に関わっていると考えているし、求められる役割は果たしていると感じています。

働き方を工夫しても仕事の総量は変わらない

両者の働くことに対する価値観の違いは、自然と働き方や生活における行動の違いにあらわれます。残業時間、飲み会の付き合い、土日の会社行事、大切にする交友関係、読む本の種類、資格取得や自己啓発の内容、などなど。

仕事を生活やキャリアの中心に据える生き方は、右肩上がりの経済成長を支えてきました。仕事を懸命に頑張ることで、個人としての生活とやりがいが満たされ、同時に社会を潤す原動力となりました。しかし人口減少期に入り、長期的には経済縮小していく社会が現実となった今も同じような価値観のままでは、皆が満足を得ることは難しくなっていきます。

従って残業問題の根幹は、どのように働くかという「働き方の多様性」を認めることではなく、その延長線上では決して解決できないことに気づきます。働き方の多様性とは、何とかして目の前にある仕事の総量を工夫して定時の時間内に詰め込む作業にしか過ぎないからです。在宅勤務や早朝出勤では仕事の総量は変わらないのは明らかです。

より大切なのは、Bさんのような存在を会社や社会が認めること、つまり「働く目的の多様性」を認めることだと考えています。残業問題以前にそもそも仕事に対する価値の置き方や働く目的は人により異なっているのです。そしてその異なるそれぞれの立場を認め、個人と組織が折り合いのつくポイントをそれぞれ定めて、働くことに向き合うことが必要ではないでしょうか。

「皆が平等」は平等ではない

つまり、そもそも皆が平等に働く、ということは決して平等ではないのです。それぞれの家庭の事情、健康問題、生活のあり方、やりがい、人生設計、それらはみな違っていて自然なことです。もちろん、仕事や会社により多くの時間や手間をかけることのできるAさんの方が、そうでないBさんよりも得られる収入は多く、高い役割を得ることが自然ですし、どちらを選択するかの自由や、あるいはこれら以外の選択肢にも理解を示すことが「働く目的の多様性」を認めることにつながるのではないかと思います。そして、そういった変化が少しずつ社会で現実化していき、残業問題をはじめとする労働に関する様々な問題解決の糸口となることを、願っています。


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