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成功するファシリテーションの開始10分前にやるべき4つの約束

いよいよ開始時刻が迫り、自らがファシリテーターを務める大切な時間の成功を願う時、皆さんは何をしていますか?開始前の10分間を意図を持って過ごすことで、その後の数時間の充実度が格段に向上することをご存じでしょうか。これまで私自身がファシリテーターとして経験してきた気づきからの、細やかなご提案です。

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1.鏡と向き合う

"一人の時間"をつくりましょう。控室でも化粧室でもよいですが、鏡に向かって自分の顔、立ち姿をよく確認します。強ばった表情に気づいたなら笑顔をつくります。大きく口を開けて「あ・い・う・え・お」と表情筋を伸ばしましょう。ジャケットの襟が折れ曲がっていないか、髪が跳ねていないかなど身だしなみも大切。ほんの2〜3分が気持ちを切り替え、これから始まる時間への集中を促してくれます。例えるなら、これから舞台に立つ俳優・女優のような気持ちになることで、自然な気持ちの高まりとともに程よい緊張感とやる気を引き出してくれます。

2.話しかける

会場に入ったら、開始前に集まってきている参加者に短く話しかけましょう。「暖かくなりましたね」「どちらからお越しですか」「どちらでこのセミナーをお知りになりましたか」等々。大切なのは、初対面の人を優先すること。顔見知りやリピーターの方は話しやすく気楽なのですが、特定の人との親しすぎる会話は他の参加者を遠ざけます。直前の数分間に必要なことは一人でも多くの「味方」を作ること。それぞれの会話は短く切り上げ、できるだけ多くの方に声をかけます。必ず相手の名前を確認し、それ以降は名前で呼びかけます。開始前の小さなコミュニケーションは参加者との距離を縮め、相手の緊張もほぐします。それが本番のファシリテーションの中で参加者が主体的に発言する空気をつくり、場の自然な活性化につながります。

3.相手を信じる

その時間が始まるとファシリテーターは場の支配者で、全ては自分の指揮の下に進んでいきます。だからといって主役が参加者であることを忘れては、きっと質の高い時間を創り出すことは困難でしょう。テーマを提示したら、根気よく参加者自身から主体的にメッセージが出てくる瞬間を待ちます。決して、急かしてはいけません。誘導尋問のようにその場で求めたい"答え"に近づけることも、避けるべきです。相手の理解、気持ちの変化、参加者同士の相互作用、それらが時間とともに混じり合い必ず「何か」は生み出されてきます。そう深く信じることが、ファシリテーターにとって何より必要な要素です。極論、その時間内に答えが出なくても良いのです。相手の内側に秘められた「何か」はその時が来れば必ず形になります。そのための安全で心地よい空間づくりこそがファシリテーターの役割であるということを、開始前10分間の中であらためて思い出してみて下さい。

4.自ら楽しむ

なぜ、いまファシリテーターとしてこの場に立っているのかを考えてみると、それは自分が望んだ役割だからであるはずです。以前の記事、 優れたファシリテーターを目指すなら守りたい4つの約束 - skillnoteのブログ の中で「満足すべきは自分でなく参加者」であるとお伝えしました。そういった独りよがりの満足は避けながらも、その場に立って人と人をつなげる役割を担っていることに対する素直な"嬉しい気持ち"を押し潰す必要はありません。「ミラー効果」といって、話し手の気持ちは聞き手の気持ちにそっくり鏡のように映し出されます。自らが楽しむ気持ちが相手に伝わり、場全体にポジティブな空気を創り出していきます。そのことを開始前に思い出して、自らの"ワクワク"を大切にしてスタートしてみてください。

いかがでしたか?「開始前10分間の過ごし方」をファシリテーターの役割を担う皆さんにお役に立ていただき、質の高いファシリテーションをより多くの方に経験いただくことで、何か新たな発見や行動につながると良いな、と思います。