skillnoteのブログ

「スキルで自分らしく」を応援します

同業者と知って遠ざかる人の悲惨な末路

私はプレゼン技術に関するセミナーの講師をしているのですが、最近似たような経験が続いたので少し整理してみました。

・自分が受講者として参加したダイバシティに関するセミナーの休憩時間、講師に名刺交換をお願いしました。その方はダイバシティ推進団体の理事をしながら、個人事務所でコミュニケーションに関するセミナーを開催しているそうで、当日はワールドカフェのファシリテーターを担当。私が自己紹介をすると「ああ、同業ですね」と言い捨てるように、目も合わせる間も無く次の方へ気が向いてしまいました。社会の多様性をテーマに活躍中の団体でもあり、その対応には驚きました。

・プレゼンの様々な技術を学びたいと思い自分自身が参加者として某プレゼン推進団体のセミナーに申し込み、受講料を振込。すると翌日、受講は控えていただきたいので返金します、送金方法を連絡下さいという一方的なメールが。聞くと先方は私の名前をwebで検索し、活動内容を見て他の受講者の支障になると判断しましたとのこと。私自身の学びたいという想いと周囲への配慮、決して偵察行為では無いのですよと説明したものの、かたくなに辞退して下さいと繰り返すばかりでした。知らないところで名前を検索されるのは仕方ないとしても、そのことを隠そうともせず「お断りする根拠」として本人に提示されたことは驚きでした。webリテラシーの課題ではありますが、これもまた同業者は遠ざけたいという強い意志を感じました。


さて、そんな一方で全く逆の行動をする方も多くいらっしゃいます。私の主催するプレゼン講座にはよく女性の個人事業主・起業家の方が参加されます。また時には「話すこと」そのものを仕事にしている方もいらっしゃいます。彼女たちは実働年数や顧客対応のバリエーションにおいては私よりも遥かに多くの経験を持つプロフェッショナルです。にも関わらず半歩でもサービスの質を高めようと、プレゼン講座を受講し当事者目線・講師目線を交え新たなヒントを見つけていかれます。また参加者同士が同じ業界ということも珍しく無いのですが、連絡先を交換し後日お互いのイベントに参加するなどして、ネットワークがどんどん広がっていきます。私自身も彼女たちから学び、その輪に入れていただきながら新たな成長を目指しています。

どちらが良いかを単に問うことは答えが明白なのですが、この「反応の差」が何によって生まれているのかということを考えることはとても大切だと思います。例えば昔から業界の分析には「3C分析」というフレームワークが使われてきました。3Cとは「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の3つ。このフレームではそれぞれを論理的には完全に別の要素として捉え、それぞれの対策を立てることが経営戦略として必要、という考え方です。しかし現実はどうでしょうか。急速なweb・クラウド化や業界を超えたボーダレスな変革の波に、この図式は必ずしも適用できません。チューインガム業界や音楽CD業界の市場縮小がスマートフォンによってなされるとは誰も気づかなかったのです。

本当のコンペティター(競合)は誰か、コンペティターと思っていた相手は手をつなぐべき貴重な存在ではないか、あるいは売り手と買い手は時に逆転するのではないか、等々と柔軟に向き合うことが大切ではないかと考えます。

同業者と知って遠ざかる人、近づく人のわずかな行動の違いは、その背後に持っている市場や顧客に対する価値観の表れであるかもしれない。そうするとその行動の積み重ねはいつの間にか詰めることのできない大きな差になっていく、そんな悲惨な末路が待っているのではないか、そんなことを感じる出来事でした。




○セミナー案内 3/7(土)
「すぐに通じる話し方のコツ」〜論理思考法とプレゼン技術のエッセンス〜 @視覚障害リハビリテーション協会 http://www.jarvi.org/guests/info/event20150307.html

f:id:ASHIASHI:20150204182249j:plain