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何のために企業は「合併」するのか?雇用の意味を軽視した企業は存続しない

企業同士の「合併」をよく耳にしますが、そもそも合併は何のためにするのでしょうか。市場の変化や競争の激化に勝ち抜くため、というのが一義的な答えですが、しかしそれならば選択肢は他にもあり、事業の見直しを行い何らかの得意な分野に特化して利益率を高めていくという方向性もあります。そうでなくて合併というのは規模の拡大によって市場シェアを高め、業界内のリーダーシップを得たり価格決定権を持ったりする、何らかの量的な増加を伴うプッシュ型の戦略ということになります。
では、合併の際には「何を」合併するのでしょうか。保有資産、人員、販売網、顧客、商品ブランド、システム、物流、etc... すべての要素がまずは足されます。しかし合併を選択する事情というのは、得てして攻めより守りの判断の結果、ということも多くあります。したがって合併と同時に不要資産の売却や、重複しているブランド・販売網の統廃合を行い事業をスリム化させます。
さらに、人員の削減も時として行われます。売り上げが2倍になっても、人員は2倍は要らない、利益確保のためにはリストラは必要、という経営上の判断です。しかしそれは正しいあり方なのでしょうか?そもそも、合併という選択肢を選んだ時点でキャッシュフローを増大させる方向を選んでいます。キャッシュフローを産むにはどんな産業でも手間・手数が必要で、それを支えるのは人員です。利益率を伸ばしたいのであれば、そもそも合併という選択肢を選ばないほうが、論理的に正しいはずです。
とすると、経営判断はどこを向いてなされるのか、という話になります。顧客?株主?従業員?その答えは企業それぞれの風土により形成され、異なります。合併という判断においては「規模拡大」という目的がどこかで「利益拡大」にすり替わり、人員のリストラという安易な判断につながる傾向があります。もちろんその際には既に会社は従業員の方向を見つめていません。何となくカイシャのため、何となく全体調和のため、というスタンスをとりがちです。しかし、自社の従業員を軽視して真の成功を得た企業はありませんし、それは今後も変わらないでしょう。雇用というのは企業がすべき第一歩かつ最大の役割で、それ自体が社会責任を果たす行為です。雇用を軽視したCSRなど存在しませんし、そういう企業は長くは存続しない、と考えます。