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「半沢直樹」にみる仕事観・ポイントは出向の「近藤」

いよいよ先週から東京編がスタート。視聴率約30%も納得の面白さ、毎回引き込まれています。

ふと思ったのは、視聴者が半沢直樹に登場する「誰」に感情移入して見ているのかな?ということ。半沢?同期入行の渡真利?はたまた、大和田常務?まあ、自分は半沢にはなれないけど、その気持ちはわかる、よくやった!という目線の方が多いのでしょうか。やはり日の当たる場所は常に好まれるものです。

ところで、半沢と対極的に描かれているもう一人の入行同期、近藤についてはどのように見られているのでしょうか。激務や人間関係からの精神疾患歴、そして片道切符の出向。そこでも横たわる困難。病的な感情の描写もあいまって、特殊な例として捉えられがちです。

そうではない、近藤の生き方の中にこそ、いま私たちに必要な仕事観のヒントがある、と私は考えています。彼自身は銀行マンとしての正道を歩めない事に対し、大きな喪失感を抱きながら、出向先での役割を受け入れました。出世街道を独力で切り開く半沢を横目で見ながら、彼は彼自身の運命を後悔しているようです。

しかし私たちを取り巻く現実はどうでしょうか。会社組織を駆け上がる、旧来の一本槍の価値観だけが全てで無いことに、ようやく多くの人が気づき始めました。また組織のスリム化や合併で生き残りをはかる企業の管理職や役員ポストのイスは、以前に比して極端に減少しています。ところが、バブル期までの同期皆課長という空気の残像を追うような企業側の目標管理・人事の運用もまた現実として見られます。そうではなく、働く人々が旧来の価値観からハッキリと決別していくこと、レールやワークスタイルは複数あって、そのそれぞれに価値と役割があり、人材に多様性のある組織こそが強い組織である、という思いを共有することが、これから個人と組織が活き活きと成長していく土台になっていくのではないかと考えています。

また、働く人々の精神疾患に関する認識と対応も、変わっていくべき時です。統計では何らかの精神疾患に一生のうちにかかる割合(生涯発症率)は15%を上回っており、これに病気の自覚の無い方や通院しない人の数を加えると、実質的には4人ないし5人に1人程度はうつ病などの精神疾患を経験し、向き合いながら働いていきます。近藤は決して特殊な例、では無いのです。

近藤が自分の境遇を真にポジティブに捉えることができ、強みを発揮していければ、それは社会の多くの働く人々にとってとても嬉しいことです。前回放送の最後にその兆しが見えたことで、ますます今後の展開が楽しみになっています。