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SNS時代にあるべき「企業の広報部」の役割とその人材活用方法「HERO」

残念ながら現状では、日本の多くの企業の広報部は旧来型の情報発信スタイルに留まっており、世の中の情報流通主流となり今後も拡大していくwebベースでの情報発信について、十分に変化に対応できていないという大きな課題がある。以前からの「ニュースリリース・マスコミ記者コネクション・記者会見・ホームページへのニュースリリース文アップ」のセットはルーティンであり、差別化という意味では効果をまったく発揮し得ない。

さらにニュースリリースのホームページ掲載に関しては、依然として「PDFファイルの掲示のみ」となっている時代遅れの企業もある。形式的なニュースリリースを記者が拾い記事にするケースは稀であり、その一方で企業からの情報発信をダイレクトにかつ主体的に拾い拡散するweb情報メディアやプロブロガー、個人ユーーは増加しており、リリース案件の口コミ効果は無視できないレベルに来ている。しかしPDFでは自動サーチや、twitterなどソーシャルメディアでのキーワード検索などにかかりづらく、その口コミ効果が十分に発揮できない。またGoogleなど検索サイトの表示もテキストデータと比して限りなく下位となる。時代は既に「マスコミリリース」ではなく「ソーシャルリリース」を前提に文案の作成と発信を行うフェーズとなっていることを、企業の広報部はより強く認識する必要がある。

対消費者・対社会の観点で広報部門の役割や、広報手法の比重を見直す時期にどの企業も面しており、その点では流通や食品、娯楽業など変化の大きなBtoC企業ほど苦労も多く洗練されいて学ぶべき点が多い。目線をより感度の高い業界に向け、結果として広報活動で一歩先んじている企業となることがどの業界でも望まれている。

また企業による「ソーシャルメディア」の運用体制は、マーケティング部門であったり特定の商品事業部であったり、また社会貢献部門であったりするケースが多いが、本質的には企業の顔であり、ファンとのコミュニケーションを通じた自社ブランドの構築・浸透が最終的な目的であるので、広報部門を中心に最適な運用体制をつくることが望ましいと考える。企業によってはFacebookページからニュースリリースのタイミングで具体的な自社サービスの紹介や関連イベント、ユーザーの声など複層的な情報提供をタイムリーに行っているケースもある。

既存メディアの影響力はまだまだ大きいものの、そこにのみ依存する情報発信の時代は終わりつつある。ソーシャルメディアに代表される「オウンドメディア」と呼ばれる、企業や個人自身が運用しエンドユーザー・ステークホルダーに直接対話できる機会の増加がそれを後押ししている。読売・朝日・日経などの大手新聞社に気遣って情報開示のタイミングを決めるといったような動きはますます減っていき、むしろtwitterでまずバスらせてから公式コメント・リリース、といった動きこそが情報感度の高いインフルーエンサーに情報拡散を促し、そこから多くの人に影響を与えることができるようになる。こういった動きを先陣を切って行うことで、webによる情報発信時代の差別化が可能なり、またどのような形にせよ広報部門がその方向付けに関わ立場にあるものと考えている。

れらの実現のために必要な最重要ファクターは「人材」である。最新のweb・SNSリテラシーと広報部門の本来役割についての感性と考え方を自力で身につけ、「既に何らかの形で発信を継続している」という経験を持つ人材こそが、この役割を十分に果たすことができる。企業内教育の限界は既に明らかであるので、逆に言うとやりたい人間が自分で自分を磨くことで、何らか望む役割を得ることができるし、これは広報部門に限らずあらゆる専門的な能力を要するセクションにおいても同じことが言えると考えている。

そこで、ハーバードビジネスレビューで提唱された「HERO」という人材活用の手法がその実現のためのヒントになる。

HERO=Higly Empowerd  Resourceful Operative:本来の所属部門とは別に、特定の業務遂行に関し一定の権限と問題解決に必要なリソースを与えられる社員。

この手法は、専門性が高いだけでなくことさら変化のスピードが激しい領域の業務について、既にそれに対応しうる能力を持った人材のリソースを最短距離で活用することで、組織のエンパワーメントにつなげる、という考え方に基づいている。また、前述のとおり現実問題として全ての問題に企業が自力で人材育成を行うことは困難である。企業の広報部門としてのソーシャルメディア活用に関する業務などは、その技術的な側面と、広報部門としての正しい役割の理解を求められるという、まさにHERO登用に適した職種である。そのような人材を広報部門に招くもよし、やや離れた立場から遊軍的に関わるもよし、何らか能力発揮の機会を設定することで問題解決につながるものと考えている。

<参考記事>

社内のHEROが主役ソーシャル・メディアで武装する組織 Empowered|経営ツールとしてのIT|ダイヤモンド・オンライン

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