skillnoteのブログ

「スキルで自分らしく」を応援します

ケムリの記憶

今日、お世話になった故人を偲ぶ「お別れの会」に参列してきました。その方は約20年前に私が新入社員として企業に入社し最初に配属された営業所の、上司の上司の上司、でした。

 

直接お会いしたのはただ一度、前年度不振店の激励訪問という名目の少人数での春先の懇親会、いわばカツ入れの席でした。

 

課員の一人ひとり話題が移り進む中、新入社員から2年目に差し掛かった私に鉾先が向いたとき、役員としてその地域の全責任を負っていたその方から私に向かって放たれたのは「お前は煙だ! ケムリ、ケムリ!」の一言。

 

周囲も面白がり、そうですねコイツは煙ですよ、まだまだ中身なんて無い!と盛り上がることしきり。その時の、なんとも言えない心境や表情に迷う居づらいような気持ちは、つい昨日のことのように覚えています。

 

それから12ヶ月が経ち、結果として営業所の成績は全国で上から数えて何番、という程の良績となりました。ふたたびその役員は営業所を訪れ、今度は「慰労会」という名目での懇親会が催されました。

 

当日私は得意先との約束があったので、そちらを優先し欠席することになりました。まぁ、またうるさいお偉いさんに付き合うよりも、気の知れたお客様との時間の方が気楽だな、と正直思っていました。その年の私自身の売り上げは(まったく偶然の巡り合わせなのですが)、営業所の好成績を支える原動力になっていたこともあり、そのことでひとり満足していました。

 

と、それから2日ほど経った頃、社内便で細長い箱の包みが送られて来ました。見ると役員名で、中を開くと厳かなパッケージのワインが一本、入っていました。

 

ああ、人の心を掴むとはこういうことかと、その時思いました。モノのやりとりということではなく、 「あなたを見ているよ」というサインの大切さに気付かされた瞬間でした。きっと多忙でタスク山積みの役員が、数百人、千人以上いる部下の一人でしかない2年目社員の動向を気にしていたのだ、という純粋な驚きとともに。

 

その後様々な変遷があり、その方は後に社長を務められ、退任され、そしてお亡くなりになりました。

 

「お前はケムリだ!」という一言は、まだ実力の無い私から全てのプレッシャーを取り除き、あらゆる迷いを解きほぐし、その後の数年間の営業社員としての飛躍を支えてくれた、と今でも思っています。

 

人に影響を与える、ということはとても難しいことですが、ただ一度の接点が相手にとってそうなる可能性がある。そのことを私自身が「こちら側」の立場で意識する時に来ているのかもしれない、そんな風に思いながら会場を後にしました。

 

今日は真冬の合間に訪れた、本当に穏やかで暖かな日でした。どうぞ安らかに。

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自由に名刺を手づくりする、という行為の先にあるもの

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11/11(土)に中央区日本橋にある「協働ステーション中央」さんご協力のもと、「働き方のRe:デザイン~「複業」での自立と地域貢献~」を開催しました。その様子を資料や写真とともにお伝えしながら、自由に名刺を手づくりするという事が意味することや効果についてお伝えできればと思います。

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この講座は当初7月に開催した際に多くのお申し込み、反響をいただき当日都合のつかなかった皆様のリクエストにもお応えする形で、年度内にリピート開催することになり、当日を迎えました。

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この日は絶好の秋晴れ、休日の午前中にも関わらず、当初定員の20名を大きく上回る35名のご参加をいただきました。皆さん、何かを得ようと開始前から熱気が伝わってきます。

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昨今、ネットニュースはもちろん雑誌や新聞まで多様な働き方についての特集記事が紹介されることが多くなりました。それはどうしてなのでしょうか。

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複数の仕事を持つ人、仕事をしながら社会貢献活動をする人、フリーランスで働く人。多様な働き方を実践する人たちが増えつつある社会的な背景を解説します。

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リンダ・グラットン氏の著書「LIFE SHIFT」は働き方、生き方を考える全体像が変わってきたことを明確に示しました。人生100年時代が現実のものとなった今、会社勤めの「定年」は人生設計においては節目とならない、むしろリスクとなりました。その解決策の一つとして、収入・やりがいを分散するという考え方が形になり現れてきたのです。

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ゲストトークにお招きした、複業実践者の「みかん」さんから、具体的な取組に至った経緯を公開インタビュー。薬剤師助手とカウンセラーの2つの立場を行き来しながら、上手にバランスを取り活動されている様子が伝わります。

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続いてミニレクチャー、この講座の肝でもある「複業と副業の違い」について。個人的な利益の追求ではなく、社会や地域の誰かが喜ぶソーシャルライクな事業=複業こそが、精神的にも財政的にも周囲の支持をいただき発展することができます。複業には本業との主従関係は無く、同等の価値を持ちます。

さて、ここまでのインプットを意識しながら、受講者の皆さんが自分自身について考えを深めていくフェーズへと移ります。

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私たちが育てるべきはカイシャでの肩書きや経験のみではなくなりました。それらは定年と共に無くなり、そこから30年を超える可能性のある人生では価値を発揮し辛くなったからです。

自分が本来持っている関心や得意なこと、他人と違う視点や経験の中に育てていくベき新たな芽がある、ということについて、自分自身のこれまでを棚卸ししながら整理します。

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そしていよいよ、参加者それぞれが自由に想い描く「2枚目の名刺」を手づくりします。目標は5枚から10枚。同じものをたくさんでも良いし、複数の肩書きを考えた人は1枚ずつ異なる名刺を作ります。

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皆、真剣な表情。静かな中にもフツフツとエネルギーが会場にひろがり伝わってくる時間です。そうか、本当は自分はこの肩書きで、こんな人たちに対して、こんな価値を提供したいのだ! という内側からの叫びに向き合い、言語化していきます。

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作った名刺を持って、さっそく名刺交換します。果たして今考えて作った名刺がどんな反応になるか、ドキドキしますね。

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初めて渡す名刺、初めて名乗る肩書き。会場のあちこちで、それ面白い! いいね! と歓声が上がります。自然と話に熱が入り、想定を超えた相手の反応をエネルギーとして、実現したいイメージがどんどん広がっていきます。 f:id:ASHIASHI:20171117081811j:image 

自分で考えた肩書きを名乗ると、自然と笑顔になり力が湧いてきます。○○株式会社の△△さんではなく、紛れも無い自分だけの名刺。

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手づくりの名刺を自分で考え、交換してどんな気分ですか? と自分自身に問いかけます。この名刺は、まさしく私たちそれぞれのアイデンティティを示しています。これまで得てきたあらゆるリソースを、自分が実現したい役割に集約することで、働くこと・生きることが一体化していくのです。

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このような働き方・生き方は「パラレルキャリア」という概念でも示されていて、経営学者のドラッカーにより提唱された考え方です。論文が書かれたその当時から数十年が経過した現代に、花開き賛同する方々が増えています。ドラッカーさん、凄いですね。講座でご紹介の「パラレルキャリアを始めよう!」(法政大学大学院教授 石山恒貴氏 著/ダイヤモンド社)にも詳しく描かれています。

 

参加者それぞれの想いが具体的な形に現れ、熱気と笑顔が冷めやらぬまま講座は終了時間を迎えました。自由に名刺を手づくりする、という行為の先にあるのは漠然とした自分探しではなく、地に足の着いた意味ある働き方・生き方を自らが描くという主体性の獲得です。たったそれだけのことが、もしかするとその後の人生を大きく左右するかもしれない、そんな事をそれぞれが感じる時間となったことと思います。

 

 *****

 

スキルノートではこれからも、このような場づくりを賛同いただける皆様との連携をしながら続けていきたいと考えています。そして具体的に歩み出した皆さんのそれぞれの段階に合わせた学びの場もご用意します。皆さんの「自分ならではの歩み」を心から応援しながら、再びどこかでお会いできることを楽しみにしています。

 

 

【2/2金】丸の内・Startup hub Tokyo

「起業」で実現するパラレルキャリア ~実践的なビジネスパーソンの複業スタイル~
https://172565231aa01ad6c37a8def2f.doorkeeper.jp/events/67274

「パラレルキャリアを始めよう!」著者の石山さん他の皆様とご一緒させていただきます。名刺づくりワークショップも行います。(共催:NPO法人キャリア権推進ネットワーク)

 

【12/16土】吉祥寺・武蔵野商工会館

自分でデザインする「伝わる講座」のつくり方
http://kokucheese.com/event/index/491702/

起業や複業で「講座、セミナー」形式の活動をされている方、予定している方向けの専門講座です。表面上の広報の工夫ではなく、受講者が本質的な満足感を得て良き支援者となる仕組みを理解します。

 

スキルノートのFacebook ページ

https://www.facebook.com/skillnote111/

 

企業団体・非営利組織向け事業支援のご案内

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こんにちは、スキルノート 主宰の芦沢です。10~11月は働き方の多様性について考える2講座「地域で輝く2枚目の名刺」、「働き方のReデザイン~複業での自立と地域貢献~」に大きな関心をお寄せいただき、合計で70名近いご参加をいただきました。

柔軟な働き方は、そのまま柔軟な生き方につながります。私たちが持続可能な人生をおくるために今立ち止まって考え行動することは、自分だけでなく後の社会を良くするものと信じ、引き続き取り組んでいこうと思います。

 
さて、スキルノートでは企業・団体や非営利組織の皆様の人材育成支援や事業支援を実施しています。今年も複数ご採用をいただき実施して参りましたが、2018年度の職員研修や組織強化にご検討いただきましたら幸いです。

 

■組織強化、人材育成:企業・団体において定期的な訪問による研修実施、担当者と一対一の事業相談を通じた行動力の引き上げを行います。対象者と課題意識に合わせた支援内容をカスタマイズいたします。(半年~1年間、月1回2〜3時間訪問)

 

■ビジネススキル研修:企業・団体における職員の基礎スキル向上策として、「リーダーシップ基礎理解」「問題解決力を高める発想力・思考力の強化」「プレゼンテーション技術の習得」「社内ファシリテーター養成」「組織のコミュニケーション強化」の研修を実施いたします。(1回90分~120分、複数回シリーズ可)

 

助成金申請シナリオ構築・プレゼン参画:公益団体およびNPOを対象に、地域活性化地産地消・子育て・アートフェス等に関する事業支援助成金の獲得支援を行なっています。助成金は文字数の少ない書面と数分のプレゼンテーションで成否が決まります。プレゼンチームに参画しながら的確な伝え方をご指導し助成金を得ることで、公益事業の発展にご活用いただけます。(申請内容により応相談)


スキルノート 主宰 芦沢壮一(あしざわ そういち)
skillnote111@gmail.com

「あなたは役立っているよ」という気持ちは口に出すことで輝きを放つ

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今年の初めから継続的に人材育成のご支援をさせていただいている非営利団体さんがあります。月に一度お伺いし、何人かの担当者さんとの面談を通じ事業の課題を共有したり、解決の道筋を一緒に考えたり、想いや時には不満を受け止めたりしてきました。

 

自分自身として「部分的には、何らか役立っているはず」という主観的な考えはあるものの、短期的に成果につながるものではないので、確証のないままに過ごしていました。そんな矢先、いつものように訪問した際にマネージャーの方から「あなたのおかげで、うちのメンバーがイキイキしているよ。適度な緊張感と楽しみな気持ちで、前向きに取り組めているよ。」といった主旨のお声掛けをいただきました。

 

思いがけずそんな言葉をかけていただき嬉しいのと同時に、ああ気持ちを言葉に表すという行為のパワーは凄いなあと感じました。逆に、どんなに心の中でポジティブな感情を持っていたとしても、ハッキリと口に出して相手に伝えない限りそれは伝わらないのです。

 

自分自身の行動を振り返り、果たして日頃お世話になっている周囲の人たちに、「あなたは役立っているよ」という明確なメッセージを発しているだろうか。口に出すことでその言葉は初めて輝きを放ち、相手も自分も幸せな気持ちを共有できるはず。そのように心がけようと心に決めた、そんな日になりました。

 

 

「バズる記事」は本質的な変化を遠ざける

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これまでの価値観を根本から見直すような本質的で真理を突いた意見を明確に述べることと、その文章がweb・ソーシャルメディアを会して何万何千の人たちに支持され読まれる(バズる)こととの間には、正の相関関係は無いと常々感じている。

何万何千の「いいね」やブックマークを得るということは、つまりマジョリティーの意見をその文章が代弁しているということだ。同感・共感のシェアは「ああこの人は自分と同じ想いで、それを自分に代わりわかりやすく表現してくれている」と感じることで生まれ、それが受け手からさらに拡散し、より多くの人の目に届くという仕組みだ。

しかしよく考えてみると、マジョリティーの意見というのはおおよそ、これまでの歴史や生活を基盤にそれを守り育てる方向にベクトルは向いている。そりゃそうだ、誰も自らのやってきたことを率先して否定はしたくないという自然な想いを持っているからだ。つまり、社会全体としては常に「変化」は嫌われる傾向にある。その中で広く支持される意見というのはどうしても過去の価値観に従ったものになり「あるある」的な予定調和の話題ほど違和感なく多くの人に好まれるものだ。

ところが社会に何かしらの課題が発生していたり、世の中の価値観が変化していく節目においては、そのバズる情報が「変化を遅らせ、遠ざける役割」にしかならないことがある。自分としては薄々これじゃダメかもと感じている萌芽が、多くのマジョリティーの支持意見を目にすることで抑え込まれ、まだまだこのままで大丈夫と自分を言い聞かせ、そして変化のタイミングを次第に逸していく。

今日もまたきっと幾つかの文章が拡散され私たちはそれを目にすることになるだろう。親切や感動のエピソード、親や友人との会話からの普遍的な気付き、働くことや会社組織のあり方についての教訓、、、。

それら一つ一つを否定したいわけではない、書き手にとっては素直な想いの発信であろう。ただそれが多くの人に好まれる文章であればあるほど、旧来的な価値観に基づいた、ともすると社会の変化を遠ざける意見である可能性が高いことを、頭の片隅に置いておいて欲しいのだ。家族観、子育て論、教育論、労働観、リーダーシップ論 etc. 時折議論になるそのどれもが、古くからの価値観と新たに接する出来事との折り合いの話題になる。そして、自然とより多くの声が集まる方へと収束してしまう。

寄らば大樹の陰とは昔の人はよく言ったものだ。どうしても私たちは他人に嫌われたくない、多くのひとと同じ側に立ちたいという同調バイアスがあり、意識せずともそちら側に判断軸を傾け、安心感を得ている。反面、それでは世の中変わらないよね、ということも同時に言える。どれだけ意識的に、他人と異なる意見をヨレずに表現し伝えられるか。また多くの人に支持されなくとも、真意が伝わる相手が一人いれば良いという気持ちでいられるか。それは自分自身とのとの闘いの日々だ。

本質的で真理を突いた、過去の価値観を否定する意見は多くの人には好まれない。だけどそれを表現する使命が自分にあるのだと感じるのなら、続けて行くのがいい。時を経てきっといつか想いを同じくする誰かに届き、社会が必要とする変化の局面に立ち、いよいよ機が熟した時それが少しだけ役立つことができるはず、僕はそう願うのだ。

なぜ今、パラレルキャリアなのか(寄稿記事)

特定非営利活動法人 NPO・えん 様の機関紙「万里夢(マリーム)」2017.10発行号へパラレルキャリアについての記事を寄稿させていただきましたので、その内容をご紹介します。

http://www.npo-en.com

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皆様はじめまして、私は現在サラリーマンの仕事と別に、「スキルノート」という事業名でコミュニケーションやビジネススキル・多様な働き方に関するセミナーの講師をしています。最近少しずつ聞かれるようになった「パラレルキャリア」という働き方、生き方です。そんな形に切り替えて約5年になりますが、続けてみて感じていることを今日はご紹介します。

 

5年前というのは東日本大震災が起きてしばらく経過した頃で、旧来型の価値の見直しや働き方・生き方を具体的に変えようという人たちが現れ始めた時期です。私自身もそれまでの「猛烈サラリーマン人生」というレールに疑問と疲れを感じていたこともあり、何かできないものかと機会を探っていました。元々大学時代には教育学を志していたこともあり、企業に入社後の経験を振り返り最もしっくり来た仕事として「人材育成に関する役割」に焦点を当て、記憶や経験の整理を始めました。

 

そして日ごろから興味関心を持ちインプットしてきた人材育成に関する知見や、勤めの仕事を通じて得てきたものを一貫性のあるメッセージとともに形にし、社会に役立てていきながら自分自身の2本目のキャリアとして並走させてみよう、という取り組みを開始しました。「講座・研修」というスタイルを軸に定め、現在は年間約20~30回程度を自治体や企業、NPO等との連携により実施し、同時にブログ・SNSからの情報発信を行っています。

 

一連の取り組みを通じて感じていることは、いま世の中では「リスク」の内訳が変化しているということです。これまでは「他人と同じことをし、一つのことを続け、ルールを決して逸脱しない」ことがリスクを回避する正解とされてきましたが、今はそうすることが逆にリスクを高めているように思います。

 

私たち人間は元来身を守る習性として「安全バイアス、正常性バイアス」が働き、変化を好まない傾向にあります。働き方・生き方においても同様で、周囲を見渡して逸脱しない選択肢こそが安全のように思い込まされています。しかし現実には、少子高齢社会や市場経済の縮小など世の中のモノサシ自体が変化している中では自然と「リスク」の意味も変わり、むしろ「変化をしない」ことがより危険な状況を招く可能性もあるのです。

 

昨年出版され話題となった「LIFE SHIFT」(リンダ・グラットン他 著)に描かれているように、平均寿命が100歳を超える長寿社会を生きる前提で私たちは生活設計をする必要が出てきました。するとこれまでの「教育(学校)→労働(会社)→引退(老後)」というタイムテーブルは意味をなさなくなります。なぜなら多くの人は退職金や年金のみでは生活を維持できず、70歳や80歳を超えても収入の糧を得る必要が出てくるからです。

 

であるならば生活費を得るためだけに「苦痛を伴う仕事」を我慢しながら続けるのではなく、自分自身の興味関心を高めながら社会に価値を提供する働き方のほうが、長い人生を無理なく支える「本当の仕事」となりやすいでしょうし、人生そのものがより充実していくのではないかと考えています。

 

「本当の仕事」の中身は人により異なりますが、本人にとってはそれに取り組むことが楽しく好奇心が満たされ、また周囲の人々や社会にとっても価値が高いものであると対価を得られる継続しやすい仕事になっていきます。

 

そして何より大切なことは、取り組みのスタートは早ければ早い方が良いということです。退職してからさあ始めよう、ではなく30代、40代のうちから勤めの仕事と並行しながら何らかの種まきをし、知識やスキルをインプットすると同時に常にアウトプットを心掛け、会社という枠の外側で一個人の立場として人脈を広げておくことが、近い将来の事業創出の財産になり、それがリスク回避の手段ともなります。

 

上記「LIFE SHIFT」の中でもこういった兼業スタイルは「ポートフォリオ・ワーカー」として紹介され、今後変化していく社会において選びうる働き方の一つとされています。決してこれだけが正解ではないですし、人それぞれの立場や状況により適した働き方・生き方は様々にあるのだろうと思います。

 

私たちそれぞれに今求められていることは、将来の生活や社会の姿を自分なりに捉えながら、旧来のモノサシにこだわることなく柔軟に「リスク」を取ること、用意されているレールを正確に進むのではなく自らが新しいレールを轢いていくのだという意識を持つことだと考えています。パラレルキャリアを実践する日々の中で自分自身の現在と将来をおぼろげに見つめながら、そのように感じています。

 

 

「いつか」はいつか?

 

いつか、自分が本当にやりたいことをやろう。

 

では、その「いつか」はいつやってくるのだろう。

 

自分が本当にやりたいことは、「いつか」がやってこないと出来ないのだろうか。

 

本当にやりたいことよりも優先して日々やっていることは、自分にとってどんな意味があるのだろう。

 

そうして過ごしている毎日に、自分は満足しているのだろうか。

 

もし満足していないのなら、どうすれば満足するようになるのだろう。

 

おそらく未来というのは、一つ一つの小さな行動の積み重ねによってしか形作ることはできない。

 

だから、小さくても日々何か行動することが、自分が本当にやりたいことへと進む、ただ一つの方法だ。

 

「いつか」はたぶん、いつまで待ってもやって来ない。自分が今日という日を「いつか」に変えない限り。

 

 

【10/29】地域で輝く2枚目の名刺作り講座 http://kokucheese.com/event/index/482598

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