「自分は何ができるのか」明確に伝える力が40代サラリーマンを救う
サラリーマンの40代、というのはどうやら一つの節目のようだ。
管理職が要らない社会
「何ができるのか」具体的に説明できる力
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考え続け、自分の役割を見つける
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サラリーマンの出世レースから降りて良かった5つのこと
私は現在サラリーマンの仕事と別に、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーの講師をしています。最近少しずつ聞かれるようになった“パラレルキャリア・パラレルワーク”という働き方、生き方です。そんな形に切り替えて3年ほどが経ちましたが、続けてみてとても良いなあと感じていることを今日はご紹介します。
1. 健康になった
そもそも、このような働き方に変えたきっかけは健康問題でした。10年ほど前に人事異動を機にメンタルヘルスを崩し、休職とリハビリ勤務を経験しました。当時の詳しい経緯は過去記事に記載していますが、ともかく職場に復帰した時にそれまでのワークスタイルを見直すことにしました。
具体的に変えたことは「残業をしないこと、付き合い酒を断ること、組織の仕事に依存しないこと」の3つ。評価や上司・同僚の視線を気にしていては再び消耗していくように感じ、健康を取り戻すにはとにかく早く帰って寝よう、と割り切りました。何らかの精神疾患を経験すると「睡眠」の重要性に気付かされるのですが、良質な眠りを毎日確保できるかどうかがメンタルヘルスの維持には欠かせません。残業や付き合い酒を止めることで肉体的にも負担が減り心身が健康となり、心のゆとりも生まれました。
しかし残念ながら多くの伝統的な日本企業では発揮した成果よりも、時間的な貢献がその人の仕事の評価や人材登用につながります。ま、それは要らないやと選択することで、自然と出世レースから降りることになりました。
2. 地域の知人が増えた
平均21時退社を3時間縮め月に2回程度の飲み会を断ると、なんと毎月約70時間を確保できます。その時間を何に使うかはその人次第で、例えば習い事やジム通いをしても良いと思います。私の場合はずっと以前から実現したいと考えていた、コミュニケーションやキャリアに関するセミナーを事業として形にし、地域社会にも役立てるような形作りを始めることにしました。始めた当初は無名で実績もありませんし、所属も肩書きもない自分がなかなか相手に受け入れてもらえないことを痛感する日々。ああ、今までは組織の名刺で仕事を“させてもらっていた”のだとそこで初めて知ることになり、「個人事業者や起業家って凄いなあ」と心から尊敬するようになりました。
同時に、毎朝都心に通勤しているだけでは決して出会えない地域のユニークな仲間が日に日に増えていきました。プロブロガー、兼業主夫、バルーンアーティスト主婦、市議会議員、PTA役員、自分と同じようにパラレルキャリア・パラレルワークな人々など。今更ながら人と出会う素直な喜びに気付きましたし、ネットワークに飛び込むことで自分の活動領域も広がっていきます。自分はこの地域に暮らしているのだなあ、という実感を初めて得ることになりました。
3. 家族と仲良くなった
個人の事業を始めた当初、子どもは幼稚園児と乳児。実際には空いた時間はまずは家事育児に振り向け、それでも何とか確保できた時間を自分の活動に充てました。おそらく以前のままの働き方や価値観のままでは妻に子育てのほぼ全てを委ねていたでしょうし、子どもたちと共有する時間を今ほど大切だと理解することはできなかったでしょう。
日本の男性が家事育児に関わる一日あたりの平均時間はたった1時間7分だそうで(出典:内閣府 平成25年度男女共同参画白書)、それは諸外国の半分から三分の一の少なさです。育メンがスタイルとしてもてはやされることは素晴らしいですが、実際に家事育児にどれだけ時間を使ってるかという「質より量」を大事にすることで、家族と仲良くなれるのだと実感しています。
4. 時間の使い方が上手になった
結局、何だかんだとても忙しい毎日です。ブログの記事を一本書くのにも、落ち着いてカフェで思考を巡らせて、なんて夢のまた夢。家事育児と勤めの仕事を片付けるすき間の時間に、思いつくことや実現したいことを書き出し、アイデアをひねり、徐々に形にしていきます。
移動時間は貴重な作業時間になりましたし、土日の過ごし方は遊びも含めて2ヶ月くらい先まではある程度計画しておきます。10分間が貴重だと身に染みて思うと、限られた時間の中で逆にアイデアや良い文章が生まれてくる不思議を感じています。
5. 定年や老後が怖くなくなった
そうして日々過ごしているとワクワクが増えました。ありがたいことにセミナーの受講者から新たなネットワークへのお誘いをいただいたり、地域の子育てサークルからファシリテーターとして声がかかったり、予想外のコラボの計画が持ち上がったり。
定年とか老後という概念は実は最近のもので、サラリーマンが働き方の主流となった高度成長期以降、ここ半世紀のことです。それ以前はほとんどの人々は一次・二次産業に従事し、それぞれが手仕事を持って生涯現役が常だったのです。個人の想いを事業という形にすることで、定年や老後という線引き自体を意識しなくなりました。
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最近は、サラリーマンのパラレルキャリア・パラレルワークを能力開発の有効な手段として価値視する見方も出てきました(参考:Works133号「副業=複業に人事はどう向き合う?」 リクルートワークス研究所)。成功や効率をただ盲目的に求めるのではない、しなやかな生き方を選択する人が確実に増えてきています。
社会が本当に変わるのにはまだ数年はかかるのでしょうが、今後も一人のパラレルキャリア・ワーカーとして自分の価値観に正直に行動し、自分に近い半径から少しずつ良い変化を起こしていきたいと思います。